伴野昭人 会員限定記事
北海道新聞 2025年1月26日 12:10
戦後50年に合わせ、教会単独で「戦争責任告白」を行った札幌豊平教会
戦時下のキリスト教会は、厳しい試練、妥協の日々が続き、戦争への協力に突き進んだ。なぜ「あやまち」を重ねたのか。1995年の戦後50年に合わせ、単独で「戦争責任告白」を行った教会が道内にあった。
札幌市豊平区の「日本キリスト教会札幌豊平教会」。当時、採択に向けて奔走した同教会長老の武蔵学さん(75)は、学生時代に別の教会で目にした1枚の紙に衝撃を受ける。人を殺傷する軍用機を献納するため募金を求めた文書だった。
「隣人愛を説きながらこんなことまでしていたのか」。戦時下の姿勢が日本のキリスト教会の今日の弱体化につながっているとの思いは強い。
教会員の戦争・戦後体験の証言集会や学習会を繰り返し告白に至った。「一教会であっても反省せずには前へ進めないと考えた」と振り返る。
告白では国家権力からの要求に屈し、天皇礼拝や神社参拝を行い、戦争に協力してアジア・太平洋諸国の人たちの尊厳と命を奪ったことに言及。現代社会に暮らす在日コリアンやアイヌ民族などに触れ、民族差別、性差別のない公平な社会の実現を目指すと誓った。
これらの告白を踏まえ、教会の「戦後責任」とは原点に立ち返り、地域の課題を担うことだという認識にたった。
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