ああー、物語を堪能したといえる作品を読みました。
亜ノ国ヘ 水と竜の娘たち
いやー、おもしろかったです。
大人向けのファンタジー、母性、母になること、そういうものがテーマになっています。
塔子は不妊治療をしたが子どもができず、離婚します。実家に帰って、この後の暮らしをうつうつと考えていたとき、100年はたっている旧家を相続します。その家のトランクにはいっていた石にさわったとたん、亜ノ国にとばされてしまいます。
異世界、亜の国の鉱山で塔子はまれ石とよばれ、ムリュの乳母にさせられます。ムリュは「六祝いの儀」にのぞまなければなりません。そのため、都にいくのですが、おつきの乳母が足りず、きゅうきょ、塔子がなることになったのです。
魔法がはびこる亜ノ国。「六祝いの儀」は、亜の国が魔法を次世代にひきつぐ重要な儀式なのですが、命の保証もされない残酷なものでもありました。しだいにムリュにひかれて、この子を守りたいと思う塔子。ムリュにとって、「六祝いの儀」に勝ち残ることがいいことなのか、迷います。しかし、ムリュはその愛くるしさと聡明さで人々をひきつけ・・・。
とにかく後半にあるどんでん返しにおどろかされました。こうきたかと、予想を何重にも裏切られました。
母と子だけでなく、祖母、叔父、いろんな人の人生がつまっています。とくに魔力をもった子どもを産むことを義務づけられた国の方針と女性の生き方には、深く考えさせられました。
いろんな伏線がたくみにはってあり、それがしだいにわかってくるあたりは、とても興奮しますよ。
異世界ものですが、今流行っているラノベ感覚のものとはちがって、しっかりと世界が構築されたナルニアのような読み心地がする作品です。農業新聞に連載されたものらしいですが、農業新聞、やるなって思いました!
話は変わって、昨日、国分寺の図書館とワークショップの相談をしました。講演会より、お話しをかくワークショップにしたいということで、話はまとまりました。来年の一月二月の二回です。いろんな人にきていただきたいです。
とても素敵な司書さんたちにも会いました。
司書さんにきくと、子どもに良く読まれているのは、末吉暁子さんのぞくぞく村とか、柏葉さんのモンスターホテルとか、寺村輝夫のわかったさんシリーズだというのです。
わたしの子どもたちが一生懸命読んだ本が、いまだ人気なんですね。末吉先生は、よく長くよみつがれる本を書きなさいといっていたけど、末吉先生の本は、そのお手本のように読み続けられています。
また、その頃につくった本のシリーズがずらりとたくさんあるというのも注目ポイント。今は、せいぜい五巻ほどで打ち切られちゃいますよね。
でも、図書館では、ずらりと並んでいるシリーズ本が、目について、子どもたちに人気だとか。そのあたり、考えさせられました。
もちろん、銭天堂は、すごい人気で、図書館の棚にもどらないといわれていました。
司書の方々とお話しができて、楽しい一日でした。