この頃、寺地はるなの作品を続けて読みました。思春期の心のゆれや、弱者の視点など、児童文学に通じるものがあります。
おまけに文章に叙情があり、描写がきれい。
今回読んだのは、『どうしてわたしはあの子じゃないの』
これは、地方に住む中学生、三人 女子 ふたり、男子ひとりと、大人の男性ひとりの視点から描かれた物語。
おもしろいのは、お互いの性格がちがうだけで、感じ方がこうも違うのかなっというところ。
みんなお互いが気になり、うらやましくて、その人が置かれている場所での、それぞれの苦しさは気がつきにくい。
そのあたり、すれ違う感情が、すごくうまく書かれています。過疎の村特有の閉塞感も、都会へのあこがれも。
ズル悪って言葉も、使われ方がうまいなー。
また、『川のほとりになる者は』も、おもしろく読みました。サスペンス仕立てになっているところがおもしろい。
主人公清瀬は、恋人が意識不明の重体になり、恋人の秘密をときあかそうとしていきます。
実は、恋人は、発達に障害がある友だちを手伝ってあげようとしていますが、そのことを隠しています。そこですれ違いがおきていたのです。
この作品についての、作者のインタビューもとてもおもしろく読みました。↓
「川のほとりに立つ者は」寺地はるなさんインタビュー 他人を「わかろうとする」「わかった気になる」落とし穴|好書好日 (asahi.com)
二月の最後、読書の話題でした。
週末には、長野市まで行きます。どうか、あまり寒くありませんように。