昔からのクセで、朝刊を読むときには最下段の週刊誌の広告記事にもひととおり目を通すことにしているが、おそらく、自分ばかりでなく、こういう方は案外多いような気もする。
週刊誌のことだから内容の真偽の程は「?」だが、何かしら興味のある情報がアンテナに引っかかるのを期待してのことで、ときには週刊誌の記事が発端で大騒動になることがあるのでユメユメおろそかに出来ないのもたしか。
5日(水)も「週刊ポスト6月14日号」の広告記事に何気なく目を通していたら、いろんな刺激的な見出しが踊る中で「この国の政治を歪めている弁護士政治家の研究」という小見出しに目が止まった。
弁護士といえば我が国の知的エリートの象徴みたいな存在だし、何といっても資格試験の最高峰とされる司法試験の合格者だから身元の保証は文句なし。書くのも、喋るのも両方達者で頭のいい人ばかりばかりなので、国民から大切な負託を受ける政治家にはもってこいのような気もするが、そこはそれ、頭がいいばかりではうまく世の中を渡れない事例が何ぼでもある。
たとえば、東大(理一)を出ていながらお粗末な世迷言を何度も繰り返して、いっこうに懲りない鳩山由紀夫さんみたいな人もいるから、ペーパーテストだけでは地頭の良し悪しは分からない。
弁護士政治家が「政治を歪めている」とは、いったいどういうことだろうと、興味が湧いたので購入してみることにした。週刊誌をわざわざ買って読むのはいったい何年振りだろう。
6日(木)の午前中、本屋に行くと入り口の目立つ付近に平積みされていた。表紙の写真を撮って掲載してもいいのだが、過激な見出しが多くてこのブログの品位が落ちそうな気がするので止めておくことにした(笑)。
該当の記事は46頁~49頁にかけて記載されていた。
冒頭の部分を抜粋してみると、
「英国には“良き法律家は悪しき隣人なり”という諺がある。何かにつけて、法律で決まっているから、規則だからと形式論理を盾にとって融通の利かない法律家は、隣人にするには窮屈で迷惑だという意味で使われ、法律を振りかざして屁理屈で相手を丸め込む弁護士への強い揶揄も込められている。もともと橋下徹という政治家は・・・・」
というわけで、この記事は橋下さん(日本維新の会:共同代表)の舌禍事件(従軍慰安婦問題)に起因して、この際改めて「弁護士政治家」を考えてみようという趣旨のようで、法曹出身の政治家は、とかく法廷での論理やテクニックに走りたがる、はたしてそういうことで国民の信頼を得られるのか、限界があるのではないかという懸念が通奏低音となっている記事だった。
この記事によると、現在、国会には衆参合わせて約40人の弁護士議員がいるという。出身職業別では国会議員の3大供給源とされる「官僚」「秘書」「地方議員出身者」に次ぐ大派閥。
個別具体的には、自民党の谷垣禎一、高村正彦、稲田朋美(女性:現閣僚→行革相)、森雅子(現閣僚→少子化担当)、公明党の山口代表、民主党の江田五月、枝野幸男、社民党首の福島瑞穂など大物がズラリ。(ちなみに、いつぞやのテレビで「稲田朋美」さんは、女性初の宰相候補として呼び声が高いと言っていた。)
弁護士政治家が増えている現状を自民党のベテラン議員はこう述べる。
「法律に強くて演説も上手だから政治家にふさわしいと有権者に受け入れられやすい」。しかし、本音の理由は「本業があるから落選時に生活の面倒を見なくて済むし、何度も選挙に挑戦できるだけの余裕がある」というから、能力以外の別の要素もあるようだ。
さらに、平野貞夫元参院議員は「弁護士出身者には致命的な欠陥を持つ議員が多い」と、追い打ちをかける。
「議会政治では相手を納得させ、あるいは勝ちを譲っても、幅広い合意を作ることが重要だ。しかし、弁護士議員は法廷のように国会で相手を論破することが目的化している。」
結局、弁護士政治家への見方は元東京地検検事で現在関西大学特任教授の郷原信郎氏の次の意見に集約されるようだ。
「立法府の議員の役割は社会の矛盾に目を向け、矛盾をなくすように新たなルールを作り、法を改正することです。しかし、そういう能力を持った人は弁護士政治家にはほとんでいない。というのも日本の法律家は、法学部の授業や司法研修で学説や判例を理解し、法律を守るコンプライアンスを叩きこまれる。特に弁護士の場合は概して法律の理屈を振りかざすけれども、一般の企業人と比べて社会の実態を知らない。だから議員になっても、現行法を守らせるという発想が強く、法律を変える能力は一般の人よりも乏しい」
以上、例によって週刊誌独特の「為にする」記事で一方的な見方のような気もするが、本質的には弁護士と政治家は求められる役割が正反対のようなので、その辺を弁護士政治家は始めから心して取り組んで欲しいところ。
まあ、要は人物次第ということだろうが。
この週刊誌にはほかにも興味ある記事として「医療最前線レポート」というのもあった。
つい最近、米女優のアンジェリーナ・ジョリー(37歳)が遺伝子検査で「乳がん確率が87%」の結果を受けてアッサリ両乳房を切除したニュースは世界を駆け巡った。
人間の遺伝子の配列情報がすべて解読されたのは2003年。以来、「遺伝子とがん」の関係が次々に明らかになり、遺伝子検査で様々な“がん”、それに加えて認知症のリスクまでもが分かるようになった。しかも遺伝子を調べるために必要なのは少量の血液や口腔粘膜だけという手軽さ。
気になる料金の方は、「認知症」の発症リスク検査が2万円程度、“がん”のリスクを4段階で判定する検査がその範囲に応じて20~50万円程度。
しかし、お金よりも何よりもこういう検査を受けて結果を待つのが怖いので自分なら受けない。4人兄弟の末っ子だが幸い両親をはじめ兄、姉にがんに患った者はいないのも理由の一つ。
しかし、中にはがん家系の人もいたりしてそんな悠長なことを言ってられない方がいることも事実。
つい最近、すい臓がんを患った知人がわざわざ関東まで出かけて「先進医療」(陽子線治療)を受けたが、その治療費がおよそ300万円!
作詞家・作家の「なかにし 礼」がこの治療によって「食道がん」がすっかり消失したので有名だが、がんが転移する前に早期発見→陽子線治療というパターンとして活用するのならこのガン検査も有効に機能するのかもしれない。
しかし、「地獄の沙汰も金次第」みたいな気もするなあ(笑)。