「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「“こだわり”の機器」オンパレード

2013年06月05日 | オーディオ談義

(前回からの続きです)

今回訪問したSさん宅(福岡)の「“こだわり”のオーディオ機器」の紹介を続けよう。前回は世界で2台しかないアンプだったが、今度はスピーカー。

         

左側が言わずと知れた「AXIOM80」。エンクロージャーとユニットはいずれもオリジナル。

そして、右側がタンノイコーナーヨーク。中に入っているユニットはモニター・シルバーの口径38センチ。

周知のとおり、タンノイのユニットの変遷は「モニターブラック」 → 「モニターシルバー」 → 「モニターレッド」 → 「モニターゴールド」 → 「HPD系」へと続いていく。

最初期のブラックは業務用なので市場に出回っていない。その次のシルバーもモノラル時代の産物なので1本で鳴らされていて、セットで揃えるのはなかなか難しい。聞くところによると国内で20セット程度あるかないかといったところ。

その次のレッドとなるとそれほど珍しくないし、ゴールドはともかくHPD系は掃いて捨てるほどある。我がのユニットもHPD385だが今のところ長期の休養を送ってもらっている。さしたる怪我もないし、まだ十分使えるのでトレードという噂もちらほらあるが、これまでの功労者に対して随分失礼な話(笑)。

ところで、タンノイのユニットの違いによる音の差は非常に大きいとされる。シルバーとレッドの差は、レッドとゴールドの差よりも大きく、このコーナーヨークは2年ほど前にわざわざイギリスから製造年代の違うものをそろえてセットで直輸入されたとのこと。Sさんがそれほどにこだわられるシルバーの音を今回聴けるのは非常にありがたい。

そして3番目のこだわりの製品がプリアンプ。特注品である。

            

ガラス台の上部に位置して右上部で緑色の光を放っているのが該当物件だが、筐体がステンレスの“くり抜き”だそうでこの図体なのに重さが何と15キロ!製作者が非常に振動防止にこだわる方で、音質に多大の影響を与えるボリューム部分もマークレヴィンソンのLNP-2L(ジャンク品)から抜き取ったものというから驚く。

使ってある真空管はWEの420Aというミニチュア管。

ちなみに「下世話的な話で悪いのですが、このプリアンプはいくらしましたか?」と、お訊ねしたところ「言わない方がいいでしょう」と奥床しいSさん。脇からKさんがおそらく〇〇万円ぐらいでしょうと、口添えされたところ見事に「当たり~」でピッタリ賞!(ちなみに、帰りのクルマの中でKさんの推論の根拠をお聞きして納得した!)

最後の音の入り口部分のCDプレイヤー。

           

リンとティアックの2台あって、現在はリンを愛用されている。個人的な思いだがレコードプレイヤーをはじめとしてリンの製品には「音楽の良心」がぎっしり詰まっている気がしてならない。

さあ、いよいよ試聴である。

Sさんは自分のようにガサツにボリュームを上げることなく、ひっそりと、しめやかな音で音楽を鑑賞されるタイプである。低音や高音がどうのこうのとかは無縁の世界で、ひたすら「音の佇まい」を重視されて独自の世界を構築される方との思いを改めて抱いた。

こういう音なら24時間ぶっ続けで聴いてもまったく疲れないだろう。

「AXIOM80」は先刻承知の音だったが、新しく聴かせていただいたモニターシルバーはさすがだと思った。品のいい典型的なブリティッシュ・サウンドである。

しかし、聴いているうちに、これはほとんど「AXIOM80」の鳴り方と同じで、少し低音域を膨らませた印象なのがモニターシルバーの音だと気付いた。

Sさんの好みは終始一貫していて「音に対するゆるぎないポリシー」が垣間見えて非常に興味深かった。

次から次に試聴しているうちに3時間ほど経っただろうか、瞬く間という感じだがとうとうお暇する時間が来てしまった。人一倍鋭敏な耳の持ち主のKさんも今日ばかりは心から満足されたご様子だった。

降りそぼる雨の中、自宅に帰り着いたのは17時25分で、「無事到着しました。お世話になりました」とメールを打とうと、パソコンを開けたところSさんから一足先にメールが届いていた。

「やはり音の好みを同じくする方々との交流は楽しいもので、あっという間に時間が過ぎてしまいました。また、別府の方へも訪問させて戴きたいと思います。」
 
 そうですよね。同じスピーカーを愛好する人間はあまり問わず語らず、それでもどこか通じ合うものがあるから不思議。


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