このブログで何度も書くようだが10年ほど前と比べて(安くて高性能の)「掘り出し物」が少なくなったオークション。オーディオマニアや営業のプロが「鵜の目鷹の目」で探し回っているので無理もないところ。
それでも「夢よもう一度」となかなか諦めきれず、相変わらずオークションに精を出している悲しい自分。なぜなら、手に入らないまでも好きな製品の大方の相場を知るというメリットもあるから。
今回は、「ウォッチリスト」に登載し、ここ数日ずっと興味を持って追いかけた製品が昨夜(6月2日)終了したので、3点ほどその結果を記載してみよう。
☆ タンノイ・ウェストミンスター
ご覧のとおりユニットがボロボロなのでジャンク品扱いだが、ウェストミンスターがオークションに出品されるのは珍しい。
先ず結果から記すと、入札件数69件、落札価格が551,000円。
タンノイの38センチ口径のユニットは今でも割合簡単に手に入るし、それに我が家のようにJBLの38センチ口径ユニ)ット「D130」などを取り付けて鳴らす手もある。(ただし、クロスさせる周波数とかそれなりの工夫と改造を要する)。
大きいのでかなり場所を取るし、目方も100キロ以上あって扱いづらいけど可能性は果てしなく広がる。
我が家のウェストミンスターを称して、オーディオ仲間のAさんが「まったく、このエンクロージャーはJBLの低域ユニットにはもってこいのバックロードホーンがついてますねえ。これを作るとなると、とても100万円ではききませんよ」と、いつも感心していただくほど。
とにかく、これは非常に安いと思う。絶好のお買い得品で、もし自分が持ってなければ絶対に手に入れたはず。
☆ マッキントッシュC22(復刻)プリアンプ
ベテランのオーディオマニアにとって、プリアンプの名機と並び称される「マランツ7」と「マッキントッシュのC22」。つい先日の「SPレコード試聴会」でこのC22が使用されていたが、あまりの生々しい音に「C22が欲しいなあ」と、大いに食指を動かされたばかりだった。
オーディオ仲間と「プリアンプを替えると、パワーアンプ以上に音が変わるので、こればかりは良質の製品を使わないとね~」と、よく話す。
このC22は復刻版とはいえ、良質の部品を買いそろえてMさん(奈良)にお願いして入れ替えてもらえばオリジナルに近づくかもしれないという思いがあったので10万円以下なら「買い」だと、秘かに闘志を燃やしていたところ早々とオーバーしたので、仕方なく途中から傍観者をきめこんだ。
落札結果は、入札件数76件で最終価格は213,100円。
ウ~ン、ちょっと割高かな?復刻版でこんな額ならオリジナルだといったいどれくらいするんだろうと考えただけで恐ろしくなる。
☆ 「WE300B」9952
周知のとおり、稀代の名管WE300Bは1988年を持って生産が終了したが、あまりに好評だったため1990年代後半から再生産された。たしか、日本では「完実電機」という会社が取り扱っていた記憶がある。
当初、再生産の一報を聞いたとき、これで高騰する「WE300B」の値段に歯止めがかかると個人的に喜んだものだがいつのまにか、その再生産も打ち切られてしまった。いったいあの数年間は何だったのだろう?
後に聞くところによると、管内の真空状態を保つ技術が難しくて故障しやすいという噂が巷にあったようだ。
現代の技術をもってすればオリジナルを上回る300Bなんて軽くできるはずだと思っていたが、当時は現在では使用禁止の放射性物質が用いられていたそうで、そのこと一つをとってみても、もはや十全な再現は不可能。
オールドのWE300Bが高騰するはずである。
さて、この「WE300B 9952」は型番からすると1999年製である。当時のオークションでの価格は7万円前後だったと記憶しているが、今回の落札結果は、入札件数29件、価格は163,000円。
一言でいえば「博打だなあ!」
オークションで購入する真空管は何時寿命が尽きるかもしれないし、保証もないのでほとんど博打に近いものがあるが、とりわけ1990年代製造のWE300Bはその感が強い。
当節は、優秀な300Bの類似品が沢山出回っているのであまりWE(ウェスタン)にこだわるのは「銭失い」のような気もするところ(笑)。