「小論文を学ぶ」 (長尾達也著、山川出版社 、2001年、1,200円・税別)をご紹介します。この本は大学受験の小論文の参考書ですが、現代人の「考えるための知的道具」を簡潔に解説している大変優れた本です。
はっきり言って、高校生よりも大人にとって難しい本です。なぜなら、社会に出てから要求されることは「わかりやすいこと」ばかりだからです。
先日、このブログでも「『わかりやすい』という危うさ」という題で書いたように、ビジネスの現場では何もかもがわかりやすくなければならない、という暗黙の掟があります。
しかし、すべてのビジネスが単純な原理原則だけで動いているとは限りません。したがって、わかりやすいことそれ自体が危ういのではなく、わかりやすくするために大切なことを切り捨てしまうことが危ういのです。
そして・・・
その表現は難しいからもっと簡単にしてください。
ひと目でわかるように簡単な図形で表現してください。
それはズバリ一言でいえばどうなりますか?
・・・こうした「思考の切り捨て」をビジネススキルと称して講義している研修講師のなんと多いことでしょう(私もその一人かもしれませんが)。
さて、この本を読み始めて数日経ちましたが、ほとんど進んでいません。難しいというより、読みながら考えさせられてしまうからです。
深く考えるということが、これほどしんどいとは思いませんでしたが、思考力は確実に鍛えられています。本書をご一読されることをお勧めします。
http://blog.goo.ne.jp/jinzaiikuseisha/e/e37fca65c05e4ee26a8a0506024f9de7
(人材育成社)