企業研修の定番のひとつに「コミュニケーション研修」があります。研修の目的は「上司や部下、顧客との意思伝達をスムーズに行う技術を身に付けること」です。多くの会社で実施されているので、「受けたことがある」という方もいらっしゃるでしょう。
さて、その中身ですが、研修会社が違っていてもほとんど変わりません。研修の内容は、傾聴(相手の話をしっかり聴くこと)や質問のテクニックをロールプレイングなどを行って練習することが中心です。新人から中堅社員を対象に行われることが多いようです。
この研修は他のテーマに比べて分かりやすく楽しいことが多いので、受講者の評価も高くなるのが普通です。以下は、ある研修会社がホームページ上で公開している受講者評価です。
内容: 大変理解できた・理解できた:100%
講師: 大変良かった・良かった :100%
全員が「良かった」と答えているわけですが、こうした「4段階評価」に基づく数字にはほとんど意味がないことは、以前このブログでも書きました※。
ビジネスにおけるコミュニケーションとは、伝えるべき相手に正しく伝えることが全てです。こうした「粉飾コミュニケーション」を堂々と行う会社がコミュニケーション研修を実施するというのは自己矛盾もはなはだしいと思います。
もっともこの会社が考える「コミュニケーション」とはその程度のものなのかもしれません。
もしも多くの研修会社が同じように考えているとすれば、研修業界は「コミュニケーション研修」という慢性病によっていつか死んでしまうでしょう。悲観的に過ぎるでしょうか。
※「4段階評価を信用してはならない」
http://blog.goo.ne.jp/jinzaiikuseisha/e/84618dcea38332ad9f43e100c59bea73
(人材育成社)