私が「エンジニアのためのコミュニケーションの技術」という本を書いたのは今から8年前です。
大雑把に内容を紹介すると、(1)エンジニアにもいろいろなタイプがあり、それぞれ「ツボ」が異なる、(2)エンジニアのコミュニケーション能力は低くない、むしろ「文系職」よりも高い、(3)考え方、見方を変えれば優れたコミュニケータになる・・・といったところです。
本を出した当初、多くの経営者の方々(中小企業の社長さんがほとんどです)から「是非うちの技術屋たちのコミュニケーション能力を改善してくれ。彼らの話し方はまったくダメなんだ」という依頼がありました。
私の仕事は「話し方教室」ではないのでお断りすることが多かったのですが、それでも数件の「エンジニアのコミュニケーション改善案件」をやらせていただきました。
しかし、正直に言うと、あまり成果は上がりませんでした。
理由は明白です。まず、社長さんは、自社のエンジニアのコミュニケーション力が貧弱だと思っている。一方、当のエンジニアたちは社長は何もわかっていないし聞く耳も持っていないと思っている。要は「話し方」ではなく、このギャップが問題だったのです。
その後、研修やコンサルティングを重ねるうちにこうしたギャップの埋め方が分かってきました。
はっきりと言えることは、短期のスキル中心のトレーニングではギャップを埋めることはできず、ギャップをお互いに認識するところから始めて、徐々に信頼し合う企業文化を育てていくしかないということです。
まどろこしいようですが、それ以外の方法はありません。それでも一度「信頼」に基づいた企業文化ができあがれば、何があっても揺るがない会社になることは請け合います。
さて、これまた7年前の文章ですがご興味があればご一読ください。
(なぜエンジニアの話は通じないのか)
http://www.jinzaiikuseisha.jp/column/003.html
(人材育成社)