共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

寺宝公開

2019年04月07日 23時00分33秒 | 神社仏閣

今日は日中は半袖でもいいような薄ら暑い日となりました。

そんな中、今日は厚木市の飯山まで出かけることにしました。今日まで《飯山観音》の名でしたしまれている長谷寺をはじめとする飯山地区全体で『飯山桜まつり』が開催されているのですが、私はそのちょっと外れにある曹洞宗の御寺・金剛寺にお邪魔しました。今日はこちらで、寺宝である阿弥陀如来像(国指定重要文化財)が特別公開されていました。

寺伝によれば、金剛寺は弘法大師によって開かれたとされています。そしてこちらに坐します阿弥陀如来座像は平安後期から鎌倉初期の作とされています。檜の寄木造で像高約1.4mの半丈六像、作風としては宇治平等院鳳凰堂の本尊の阿弥陀如来座像と同じ定朝様の御像です。

この御像が平安後期と推察される根拠の一つは、鎌倉中期以降、いわゆる慶派台頭以降の仏像には、表情にリアリティを持たせるべく水晶を嵌め込んだ玉眼が用いられることが多いのに対して、こちらの御像の目は玉眼が確立される前の、木材に直接目を彫刻した彫眼(ちょうがん)という手法が用いられていることにあります。これは平等院鳳凰堂の阿弥陀如来坐像にも共通する技法です。他にも鎌倉期のよりリアルな武家好みと言うより、ふくよかで穏やかな表情や衣紋の流れるような表現法も、貴族好みの定朝作の平等院像との共通点です。

これだけのクオリティの仏像が、何故にこんな片田舎にあるのか…この御像については、ここ若しくは近隣の地で作り出されたものという説と、都の仏師が作ったものが運ばれてきたという説とがあるようです。鎌倉に近いこの地で作られても不思議はありませんが、作風から見て都で作られて一旦バラされ、こちらに運ばれてから組み立てられたとしても不自然ではありません。いずれにせよ、関東地方では珍しい定朝様の仏像として、大変貴重な作例です。

その貴重さ故に普段は秘仏として収蔵庫に収められていて、年に一度あるか無いかという感じで御開帳されます。今回は桜まつりに合わせての貴重な機会となりました。

境内に至る参道には



今を盛りと桜が満開になり、少しずつではありますが花吹雪を舞い散らせていました。明日は花散らしの雨がふるようですので、こうした繚乱たる光景を見られたことは幸いでした。

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