突然ですが、今このブログを御覧の皆様『ニコライ・ギルシェヴィチ・カプースチン』という作曲家を御存知でしょうか?
聞くからにロシア人ぽいな…とお思いの方、その通りでございます。正確に言えばウクライナの作曲家で、1937年生まれの御年81歳で御存命でございます!
7歳でピアノを始め、モスクワ音楽院で学んだカプースチンは、卒業後10年以上に渡ってジャズ・オーケストラの一員として各地を演奏旅行して回っていました。その後、1980年に自作のピアノ協奏曲第2番を演奏したのを最後にコンサート活動に終止符を打った後は作曲と自作のレコーディング活動に専念しています。
作曲家としては長く無名の時代が続いたのですが、ニコライ・ペトロフをはじめとした大物ピアニストが彼の作品を採り上げるようになるとそのジャジーな作風が聴衆に受け入れられるようになり、徐々に名が知られるようになりました。
私が初めて聴いたカプースチンの作品は《8つの演奏家用練習曲》でした。確か30代後半のことだったように記憶していますが、その時の印象は
「すげー!面白れー!」
でした。一応クラシックのカテゴリーに入っていながら、何という強烈なビート、そして圧倒的な疾走感。さすが、キャリアの始めにジャズ・オーケストラで演奏していただけのことはあります。
特に早いテンポの曲では左手がまるでチョッパーベースのように躍動し、そこに右手のメロディが強烈なシンコペーションを叩き込んでくるので、ハードロックを聴いているかのようなグルーブ感で爽快な気分になれます。スローな曲は、いい大人が集う酒場でグラスを傾けたくなるような小粋なナンバーで魅了されます。全曲聴くと20分以上かかるのですが、意外とあっという間にフィナーレを迎えます。
私の生徒たちにも
「こんなクラシックもあるんだぞ」
と言って第1曲だけでも聴かせたりするのですが、子供たちの反応は
「すげー!カッケー!」
となるか、ポカ~ン…となるかのどちらかです(汗)。
そんなわけで、不快指数の高い今宵はカプースチンのお洒落な世界を堪能して頂きましょう。私が衝撃を受けた《8つの演奏会用練習曲 作品40》を、作曲家本人による演奏で全楽章お楽しみ下さい。尚、画面に楽譜が出てきますが、無理して読まなくても大丈夫です(笑)。
※本年7月2日、カプースチン氏はモスクワで逝去されました。謹んで御冥福を御祈念申し上げます。合掌。
Nikolai Kapustin - Eight Concert Etudes, Op. 40