今日も神奈川県は猛暑日となりました。先日の3か月予報では10月頃まで暑さが続くというのですから、本当に最悪です…。
今日はとにかく何もする気がおきず、自宅でグッタリしていました。それでもどうにかして涼を求めたい…ということで、久しぶりに『耳から涼しく』シリーズをやってみようと思い立ちました。
今日とりあげるのは
ピアノの詩人フレデリック・ショパン(1810〜1849)作曲の《12の練習曲作品25》の第1番変イ長調、俗に『エオリアン・ハープ』と呼ばれている作品です。
ショパン作曲の練習曲はピアノのための練習曲の中で最も有名なものの一つで、全部で27曲存在しています。『練習曲』と銘打たれていますが、音楽的にも完成された作品であり、ピアノリサイタルでも取り上げられることが多いものです。
《12の練習曲作品25》の冒頭を飾る第1番変イ長調は
楽曲全体を通じて奏でられる分散和音の音色が、自然に吹く風によって音を出す弦楽器の一種であるエオリアン・ハープを連想させることから、後に『エオリアン・ハープ』という愛称が付けられました。名付け親はロベルト・シューマン(1810〜1856)と言われていて、シューマンは
「この曲はエチュードというより詩である。」
とも言ったとされています。
因みにエオリアン・ハープ(Aeolian Harp)というのは弦楽器の一種で、ウインド・ハープ(Wind Harp)とも呼ばれているものです。
風の吹き抜ける窓辺などに置いておいて自然に吹く風により音を鳴らす楽器で、名前はギリシャ神話の風神アイオロスに由来しています。
一方でショパン自身はこの曲に関して、門弟に
「牧童が、近づいてくる暴風雨を避けて洞窟に避難している。遠くで風や雨が吹きずさんでいるが、牧童は静かに笛を取って美しい旋律を吹いている。そういうところを思い浮かべてみなさい。」
と言ったとされています。このことから、この曲は『エオリアン・ハープ』の他に『牧童の笛』とか『牧童』と呼ばれることもあります。
相変わらず外は熱風が吹いていますが、せめて耳からだけでも涼しさを求めたいと思いました。そんな時に、この短くも愛らしい音楽はうってつけです。
そんなわけで、今日はショパンの《練習曲作品25-1『エオリアン・ハープ』》をお聴きいただきたいと思います。マレイ・ペライアのピアノで、ひと時涼やかな風を想像してみてください。