今日は10月10日、本来ならば1964年に開催された東京オリンピックの開会式に因んだ祝日「体育の日」…のはずでした。しかしハッピーマンデー制度によりその地位を奪われ、今やすっかり普通の日となってしまいました…。
思うのですが、ハッピーマンデー制度などという薄っぺらい制度のせいで、今の子どもたちが様々な国民の祝日について「どうして祝日になったのか」を殆ど知らないというのは教育上どうなのでしょうか。そして、当初の政府の目算通りに連休になったことでの経済効果は上がっているのでしょうか…。
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ところで、今日10月10日はイタリアオペラの巨匠ヴェルディの誕生日です。
ジュゼッペ・フォルトゥニーノ・フランチェスコ・ヴェルディ(1813〜1901)は「オペラ王」の異名を持つほど多くのオペラを遺した、19世紀を代表するイタリア・ロマン派音楽の作曲家です。ヴェルディの活動はロッシーニをはじめとしたそれまでのイタリア・オペラに様々な変革をもたらしたということで現代に至る最も重要な音楽家と評されていて、その功績を称えて1962年から1981年までは
1000リレ(リラの複数形)イタリアの紙幣に肖像が採用されていました(因みに紙幣の裏面に描かれているのは、ヴェルディの数々のオペラを初演、公演したミラノ・スカラ座の外観です)。
ヴェルディのオペラには、代表作だけでも《ナブッコ》《リゴレット》《椿姫》《イル・トロヴァトーレ》《アイーダ》《オテロ》《ファルスタッフ》などがあります。特に《アイーダ》の『凱旋行進曲』はW杯サッカーの試合でもよく流れるので、そのメロディを御存知の方も多いかと思います。
またいくつかのオペラの序曲は、その華やかな雰囲気も相俟ってオーケストラのコンサートでのプログラムにも多く採り上げられています。特に《ルイザ・ミラー》や《シチリア島の晩祷》《運命の力》といったオペラの序曲はよく聴かれていて、ワクワクするような曲調でコンサートの幕開けを飾っています。
そんな中で、ヴェルディの誕生日の今日は歌劇《運命の力》序曲を選んでみました。
歌劇《運命の力》は1862年にロシア・サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で原典版が初演された後で1869年に改訂版がミラノ・スカラ座で初演され、この時に現在聴かれる序曲も作曲されました。内容としてはインディオの血を引く青年と侯爵家の娘が恋仲になるも様々な運命に翻弄され、最後には主要登場人物の殆どが死んでしまう…という、まるでアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』のような何とも救いの無い悲劇です。
個人的な話で恐縮ですが、私がオーケストラで始めて演奏したヴェルディの音楽がこの《運命の力》序曲でした。当時高校生だった私にはものすごく難しい曲でしたが、それでも必死で練習する中でヴェルディの音楽の楽しさにハマって、後々オペラが大好きになるきっかけとなった思い出の曲です。
そんなわけで、今日はヴェルディの誕生日を祝して、個人的に思い出深い《運命の力》序曲の演奏動画を転載してみました。吉田裕史指揮によるボローニャ歌劇場フィルハーモニーの演奏でどうぞ。