今日は朝から雨が降ったり止んだりを繰り返す、生憎の天候となりました。予報ほどには気温も上がらなかったこともあったので、今日は自宅で大人しくしていました。
ところで、今日5月13日は『イタリア』の愛称で親しまれているメンデルスゾーンの《交響曲第4番イ長調》が初演された日です。
《交響曲第4番イ長調 作品90》は、フェリックス・メンデルスゾーン(1809〜1847)が1831年から1833年にかけて作曲した交響曲です。メンデルスゾーンがイタリア旅行中に書き始められたために『イタリア』という愛称で呼ばれるこの曲は、躍動的なリズム、叙情と熱狂、長調と短調の交錯による明暗の表出が特徴的で、メンデルスゾーンの交響曲の中でも最も親しまれている作品です。
1830年10月から翌1831年4月にかけて、メンデルスゾーンはイタリアに旅行し、ローマでは謝肉祭や教皇グレゴリウス16世の就任式などを目にしました。その間にこの曲の着想を得て作曲に取りかかったことが彼の手紙などから分かっていますが旅行中には仕上がらず、一度は中断することとなりました。
翌年の1832年11月、メンデルスゾーンはロンドンのフィルハーモニック協会から交響曲、演奏会用序曲、声楽曲各1曲の作曲依頼を受けました。これを受けたメンデルスゾーンは放置していたこの交響曲の作業を1833年1月に再開して3月には完成させ、演奏会用序曲《フィンガルの洞窟》と共にフィルハーモニック協会に提出しました。
そして《交響曲第4番イ長調》は1833年5月13日、ロンドンにおいてメンデルスゾーン自身の指揮によって初演されました。この時、メンデルスゾーンは24歳でした。
『イタリア』という愛称ながら、第4楽章がサルタレッロというイタリアの舞曲のスタイルで書かれている以外にイタリアを象徴するような音楽はありません。それでも、イタリアの陽光のように明るく溌剌としたヴァイオリンのメロディが心地よい第1楽章や、ヴィオラやクラリネットといった中音域楽器の活躍が特徴的な第2楽章、流麗なメロディとホルンのファンファーレ的な音形が印象的な第3楽章と、どこをとっても魅力的な音楽に満ち溢れた名曲となっています。
そんなわけで、今日はメンデルスゾーンの《交響曲第4番イ長調『イタリア』》をお聴きいただきたいと思います。パーヴォ・ヤルヴィ指揮、フランクフルト放送交響楽団による、2012年のライブ映像でお楽しみください。