今日も涼しくて過ごしやすい一日となりました。このまま一気に秋に突入してもらいたいものです。
ところで、昨夜知り合いからメールで
「ヴィオラのオリジナル作品で、何かいい曲があったら教えてくれないか。」
という問い合わせがありました。何でも、普段はヴァイオリンを弾いている彼がどういうわけだかサロンコンサート的な場でヴィオラを弾くことになったらしく、バルトークやヒンデミットみたいにお客さんが『???』になってしまわないようなメロディアスなものを…とのことでした。
そんなの自分で調べれば…とも思ったのですが、元来世話焼きの私はせっせとリストアップしたものを送信しました。そのトップに据えたのが、ロシアの作曲家グラズノフの《エレジー》です。
アレクサンドル・コンスタンティノヴィチ・グラズノフ(1865〜1936)はロシアに生まれた作曲家・指揮者で、そのロマンティックな作風から『ロシアのブラームス』の異名を持ちます。有名な作品にはヤッシャ・ハイフェッツが初演を務めたヴァイオリン協奏曲や、クラシックバレエの名品《ライモンダ》等があります。
この《エレジー》が作曲されたのは1893年です。この年にはチャイコフスキーがコレラで他界していて、ロシア楽壇に激震が走った年でもあります。
楽譜表紙を見ると
本来はヴィオラとオーケストラのための作品であることが分かります。ただ、残念ながら現在ではオーケストラバックでの演奏は殆どされていません。
聴いてみると分かりますが、たゆたう舟唄のようなピアノ伴奏の上にヴィオラが切々とメロディを紡いでいきます。ロマン派後期から近代にかけて、それまであまりソロ楽器として着目されていなかったヴィオラに少しずつ作品が書かれるようになりますが、この《エレジー》はブラームスの2つのヴィオラソナタと並んでよく演奏される名品です。
そんなわけで、今日はその《エレジー》を聴いてみて頂きたいと思います。『ロシアのブラームス』たるグラズノフの切ないメロディに、ひと時耳を傾けてみてください。