じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

佐藤正午「月の満ち欠け」

2019-10-26 20:47:10 | Weblog
☆ 人間は死んでしまえばそれでお終い、そういう考え方を断見というらしい。一方でタマシイは永遠という考え方、これは常見というらしい。人生は一度きりなのか、それとも業によって輪廻転生を繰り返すのか(中には、解脱したのにかわいそうな衆生を導くために願って生まれてくる奇特な人もいるそうだが)、それは私には分からない。過去の記憶がない以上、どっちだって同じように思うのだが。

☆ 佐藤正午さんの「月の満ち欠け」(岩波書店、岩波文庫風の装丁になっている)を読んだ。「いのち」について考えさせられる作品だった。

☆ 非業の死を遂げた「瑠璃」という名をもつ「いのち」。会いたい人に会うために繰り返し生まれ変わってきているようだ。ただ周りの人々はそんな少女の言動を奇異に感じるだけで、真剣には受け取らない。

☆ 途中、何代もの「瑠璃」と彼女を取り巻く物語が語られるので、あっちへ行ったりこっちへ行ったりと、少々混乱した。

☆ 素晴らしいのは最終章だと思う。ついに念願叶うのか。これには感動した。この終焉に持っていくための385ページだったように思う。
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