じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

浅田次郎「箱館証文」

2019-10-19 15:49:03 | Weblog
☆ 浅田次郎さんの「五郎治殿御始末」(新潮文庫)から「箱館証文」を読んだ。

☆ 江戸から明治と変わり、急速な西洋化が進む。同じ武士でも維新の勝者と敗者では進む道が大きく異なった。

☆ 元徳島藩藩士大河内厚、今は明治政府の工部少輔の地位にある。ある日曜日、彼のもとを警視庁の警部と名乗る男が訪ねてくる。彼は、かつて箱館戦争の折、斥候であった大河内の命を助け、その際、その代償として一千両支払うという証文を書かせたという。

☆ 困った大河内は返答を1週間先延ばし、剣術の師匠に相談するのだが、証文が飛び交う大騒動に。シリアスだが、途中は吉本新喜劇のようなコミカルさも感じた。最後は大団円。

☆ 森鷗外の「普請中」という感じで、時代の急変に右往左往する人々、その中でも生き残る人情、ささやかな武士道。そんなものを感じた。
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