☆ 浅田次郎さんの「憑神」(新潮文庫)を読んだ。面白かった。
☆ 江戸から明治へ、幕府が瓦解する中、代々将軍の影武者を担ってきた(といっても太平の世に出番はなく、ひたすら武具を管理するのみの閑職だが)別所家の次男坊、彦四郎が主人公。
☆ 家格が上の他家の養子となるが、男の子をもうけるや離縁に。実家に戻って居候の身となる。憂さ晴らしに酔って、転んだところに古びた社、願をかけたところ神に憑かれてしまう。よりにもよって、貧乏神、疫病神、そして死神。
☆ 物語はそうした神々との「交流」を通じて、面白おかしく進んでいくのだが、単にコミカルな作品ではない。
☆ 途中で「大義にに生きるのではなく、小義に生きる足軽の道」(203頁)と徒士としての矜持を語った彦四郎、崩れ行く幕府、廃れ行く武士道を見るに見かねて、身をもって時代に挑んでいく。それは滅びの美学とでも言おうか。
☆ 「喧嘩ってのァ、勝ち負けじゃねえ。勝ちっぷりと負けっぷりだ」(313頁)この言葉をかみしめて、時代を変えるための戦いに自らの使命を見出す。
☆ 「限りある命が虚しいのではない。限りある命ゆえに輝かしいのだ。武士道はそれに尽きる。生きよ」(345頁)
☆ 息子に残したこの言葉が心に残る。
☆ 江戸から明治へ、幕府が瓦解する中、代々将軍の影武者を担ってきた(といっても太平の世に出番はなく、ひたすら武具を管理するのみの閑職だが)別所家の次男坊、彦四郎が主人公。
☆ 家格が上の他家の養子となるが、男の子をもうけるや離縁に。実家に戻って居候の身となる。憂さ晴らしに酔って、転んだところに古びた社、願をかけたところ神に憑かれてしまう。よりにもよって、貧乏神、疫病神、そして死神。
☆ 物語はそうした神々との「交流」を通じて、面白おかしく進んでいくのだが、単にコミカルな作品ではない。
☆ 途中で「大義にに生きるのではなく、小義に生きる足軽の道」(203頁)と徒士としての矜持を語った彦四郎、崩れ行く幕府、廃れ行く武士道を見るに見かねて、身をもって時代に挑んでいく。それは滅びの美学とでも言おうか。
☆ 「喧嘩ってのァ、勝ち負けじゃねえ。勝ちっぷりと負けっぷりだ」(313頁)この言葉をかみしめて、時代を変えるための戦いに自らの使命を見出す。
☆ 「限りある命が虚しいのではない。限りある命ゆえに輝かしいのだ。武士道はそれに尽きる。生きよ」(345頁)
☆ 息子に残したこの言葉が心に残る。