
「世界でいちばん受けたい授業」藤原和博 ちくま文庫 2008.12
題して「よのなか」科。
都の公立小中学校で初の民間校長として話題になった藤原和博さんの授業実践記録です。
ホントに”記録”で、普通の中学生のそのままの授業風景だという印象を受けました。
加筆もせず、省略もせず…といったような。
ただつらつらと授業が進んでいくだけなのに、なぜかこれがおもしろいんです。
たとえば、テーマが少年犯罪と少年法という場合。
少年事件から題材をとった小説を基に、
微妙な背景とともに微妙に左右される罪を考える…。
グループごとに分かれ、その登場人物(少年)は犯罪者と主張する班、犯罪者ではないと主張する班で意見を言い合います。
自分の考え方として犯罪者だと思ってなくても、犯罪者と主張しなくてはいけないこともあるので、
想像力がかきたてられるし、考えの幅も広がります。
他者への思いも強くなっていくと思います。
いい授業ですよねー。
そして、引き続いて少年法での審判廷をシミュレーションです。
少年、保護者、検察官、家庭調査官・・・の役になりきり、模擬審判廷を始めます。
おもしろいですねー。
中学生には(大人も?)難しすぎると思うのですが、
何回かこの「よのなか」科の授業をこなしてきた子供たちの発言には目を見張るものがあります。
こんな授業、私たちの子供たちにも受けさせたいですよねー。
(本のあとがきより)
従来の授業のように世界を分断して知識として一方的に押し付けるのではなく、
生徒たちにとってもっとも身近なものから世界を覗き込むという”逆の視点”こそ、「よのなか」科の本質です。
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