1月20日、福島県双葉町の帰還困難区域の一部で6月の避難指示解除に向けての「準備宿泊」というのが始まったらしいです。このまま避難指示解除まで続くらしいので実質的に避難指示の「解除」と言えるのかもしれません。
しかし、記事にも触れていますが、町が行った「準備宿泊」対象のうち自宅の残る約300世帯への意向調査で「準備宿泊」をすると答えたのが約1割。
また、復興庁が行った住民意向調査でも今年度は帰還について「戻りたいと考えている」と答えたのも約1割。
行政はまず「復興」ありきでいろいろな施設の整備は着々と進んでいるものの、やはり現実の生活を見据えて判断している住民が多い印象があります。
そして、記事の中で取り上げられている谷津田さん。
元競輪の選手であの中野浩一選手も破った経験があるとか。
他紙他局の今回の同じ「準備宿泊」の記事を見てみると、そのほとんどが谷津田さんを取り上げています。テレビの報道を見ても取材現場に各紙各局が群がっているのが垣間見えるシーンもありました。
町かご自身かもしくは広告代理店かほかの何かかはわかりませんが、誰かがこの取材を各紙各局にお膳立てしている雰囲気を感じないわけでもない…。
もちろん、僕が現場にいいたわけでもなく、こんな「こたつ記事」を書いているわけですから全くそうではない可能性もあるわけで。
でも、そうだと仮定すれば、そこまで必死なんだな、と。
ひとりでも多く帰還してほしいというのが本音なんでしょう。
しかし、せっかくなので「こたつ記事」手法炸裂でネット上を調べさせていただくと、
谷津田さんの双葉町のご自宅の近くにある某町立施設の空間線量率が毎時1.0マイクロシーベルト前後を推移(原子力規制「放射線モニタリング情報共有・公表システム」より)していて、年間の一般公衆の追加被ばく線量限度1ミリシーベルトを余裕で超えています。
もちろん、国が事故後に設定した20ミリシーベルトを超えていないし、ある時期によく聞いた「ただちに健康に影響はない」のかもしれませんが、子供や若者が長く住むとなると十分に気になる数値です。
このあたりのところを少しでも具体的な数値を挙げて報道しているところもなく、冒頭の記事でも外部有識者の検証で対象地域が放射線被曝(ひばく)の十分リスクは低いと報告を受けながらも町は個人線量計は渡しているわけで結局のところ放射線の懸念からはやはり逃れられないわけです。
また取材も谷津田さんだけでなく、ほかの「準備宿泊」を始めた住民も取材すべきでしょうし、そもそも先ほどの住民意向調査での「まだ判断がつかない」人や 「戻らないと決めている」人にも可能であれば取材をしてコメントでも載せてほしいものです。
そのような取材ではなさそうなので、どうしても何か行政に忖度しているフシが見え隠れしているように感じるのです。
ちなみに僕が見た範囲で谷津田さん以外の住民を取材している記事は毎日新聞のこちらの記事だけでしたが何とも行政への忖度が強い印象がある記事です。
関連リンク。--------
放射線モニタリング情報共有・公表システム(原子力規制委員会)