昨日は、再び東京オペラシティへ。
アートギャラリーで行われている、「Trace Elements(トレース・エレメンツ) - 日豪の写真メディアにおける精神と記憶」を観に行ってきました。
全体的に、単純な「写真」という枠を超えた作品が多く、観る人が作品の中にいたり、写っている中の人が動いていたり、限りなく階調がない階調で表現されていたり、など、写真と言うよりは、「視覚芸術」という捉え方のほうが分かりやすいのではないか?と思いました。
印象に残ったのは、まず、僕が写真学生だった頃から知る、古屋誠一の「Memoires」を中心にした99点。
このシリーズは、いつ観ても人生の儚さみたいなものが先立ってくる。特に最後に配されたベランダで後ろを振り向く古屋氏の奥さんの写真は何とも言えなくなる。その個人的な記憶と公共的な記憶の境界は非常に複雑。
それと、第33回木村伊兵衛賞を受賞した、志賀理江子の写真集「Lily」に収められた中からの3シリーズ。
写真だけ観れば、非常に抽象的とも受け取れる作品だが、その暗さを感じさせる作画的意思に、おそらく、この今の時代を感じることができたのでしょう。そのあたりが木村伊兵衛賞を受賞できた所以のよう。
そして、この日の本題。古橋悌二「Lovers」。
先週、dumb type(ダムタイプ)の「S/N」を観て、トーク・イヴェントを聞き、浅田彰が言うところの彼の遺書的作品である、この「Lovers」は、早いうちに観ておかなくてはならないと思った。
約10メートル四方に囲われた黒いスクリーンに数人の男女のヌードが、かぼそく映し出される。それは、歩いていたり、走っていたり、重なったり、止まってHUGしていたり、している、その映像は、囲われた空間の中心にある、上下に並んだ7台のプロジェクターから映し出されおり、上2台はスライドプロジェクター、残りは動画用の液晶プロジェクターと思われ、それぞれが、360度水平に動くようになっている。
まずは、この仕組みがおもしろい。そして、映し出されているものから受ける印象が、非常に優しく軟らかく、言葉では言い表せないような普遍的なものを観る者に伝えてくる。
そして、この作品が今も、このような形で、ちゃんと鑑賞できることも、また素晴らしいと思える。
いやぁ、先週に引き続き、今回も本当に良かったです。もう、ダムタイプに完全にハマりそうです。
調子コいて、↓買ってしまいました。
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TB。--------
「junzirog:ダムタイプ《S/N》 トーク・イヴェント@ICC」