今朝の竹林はそよともなびかずにこんもりと静まっている。おもいおもいの向きでちょっとだけ頭を下げ、朝のあいさつをしているよう。風が出ると奔放にゆれて、お互いをたたき合っているような修羅場になる。一本一本がそれぞれ人の姿に似て、耳をすますと話し声まで聞こえるような気がする。
お向かいのホームはひっそりとして、建物と同じオレンジ色のみかんが軒下にたわわに実っている。お部屋での思いはうかがうすべもない。
今日もまたそれぞれの時間がチクタクと刻まれていく。どうぞ穏やかな一日を。
熊本市東区 黒田あや子(89) 2022.3.29 毎日新聞鹿児島版掲載
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