やっぱりあの頃が一番よかった。母さん、俺も分かっているんだよ。山の家に1人にしているのが心配で仕事先の都会に連れ出したね。しかし、慣れずに帰り、別の家を買ったんだったね。
山の家は父さんと母さんの愛の家。そして俺や姉兄弟妹を育ててくれ、社会に出してくれた家。
いま母さんと近い年齢になり自分がたまらない反省の毎日。そして今も山の家があるものなら帰り、自分の最期まで住み続けたい気持ちなんだよ。「親の気持ち子知らず」。まだ怒っているならもう水に流してね。
宮崎県延岡市 前田隆男(83) 2021/4/24 毎日新聞鹿児島版掲載