はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ゆきずりのひと

2012-01-31 22:57:01 | はがき随筆
 6年前、夏期授業を受けるため東京に行った。最後の授業が終わり、学友と市ヶ谷駅に向かって外堀に架かる橋を渡っていた。何気なく対向者を見て、はっと気がつき学友を突きながら「あの人、横田めぐみさんのお母さんじゃないの?」と。
 小声で言ったつもりだったが聞こえたらしく、すぐに私を振り返った人は、やはりお母さんだった。その顔は気迫に満ちていて悲しいほどに美しかった。気の休まる日が無いからであろう。会釈をしたら一礼して。すぐに雑踏に消えてしまった。
 北朝鮮も代替わりした。拉致問題の早期解決を祈るのみ。
  薩摩川内市 森孝子 2012/1/31 毎日新聞鹿児島版掲載

もったいないⅡ

2012-01-31 22:50:59 | はがき随筆
 若き女性の「片付けの魔法」なる本を読んだ。ときめかなくなった服、何に使うか分からない電気コード、何が写っているか分からない写真のネガ。思い切って捨てましょう。あるわあるわ、作者が言うように処分を決行した。大きなゴミ袋5個。部屋も広く感じ楽しくなった。
 ゴミ出しまで4日。夜になるともったいない虫がムズムズ動き出す。生地や柄が良いから何かに使えるかもと朝になると1枚2枚と出し袋が軽くなる。
 もったいない、もったいないで育った私には、なかなかできない業。今回は少しでも片付いたからよしとしよう。
  阿久根市 的場豊子 2012/1/30 毎日新聞鹿児島版掲載

私の役目

2012-01-31 22:45:22 | はがき随筆
 暮れから正月へかけて我が家は人数が増えたり減ったり、また増えたりとてんやわんやであった。28日昼、息子到着。末の娘が夜半11時ごろ到着。明くる日の昼間、長女と孫2人到着。31日、仕事を終えた息子の嫁が東京より到着。この日、末の娘は早めのお節をお重に詰めて出かけて行った。全員揃うと11人にもなる。幼いころの親子3人だけの正月からは想像もつかないほど家族が増えた。私に役目があるとすれば、子供を3人産んだことだろうか。元日の記念撮影には父と母と主人とみんなの笑顔が輝いていた。役目上々ということになろうか。
  肝付町 永瀬悦子 2012/1/29 毎日新聞鹿児島版掲載

「自分の器をもっと大きくしたい」

2012-01-30 12:58:13 | 岩国エッセイサロンより
2012年1月13日 (金)

  岩国市  会 員   安西 詩代

初詣でおみくじを引いた。末吉だったが、「神の詞」を読むと心に響いた。「一升枡には一升しか入らない。無理に入れるとあふれてしまう。もっと人のために働いて容器を大きくすることが必要」ということが書いてあった。

なるほど、今年はもっと人のために働かなければ、今の私の小さな容器ではあふれてしまう。どうしたら大きな容器になれるの? 年の初めの難題となった。

数年続けている傾聴ボランティアは月1回の訪問なのに、つらいときや他に楽しい誘いがあると心が揺れるときがある。「ボランティアだから……」と休んでしまうのではなく、「ボランティアだからこそ」と休まないことを心がけよう。自分で約束したボランティアは、契約したのと同じだということを忘れてはならない。

今年も施設に入所している97歳の方が待っていてくださる。彼女の人生のお話は、毎回聞かせて頂いても新しい発見と驚きがある。しっかり心を込めてお話を聴かせて頂いて、自分の行く道の指針にさせて頂く。私の小さな容器が少しでも大きくなり、豊かな心になれるよう。

  (2012.01.13 朝日新聞「声」掲載)岩國エッセイサロンより転載

お斎と母の味

2012-01-30 12:53:27 | 岩国エッセイサロンより
2012年1月30日 (月)

   岩国市   会 員   片山 清勝  

 毎年、年の瀬に「親鸞聖人報恩講」が営まれ、退職後は欠かさずお参りしている。昨年も寒い朝だったが、参拝者で堂内はいっばいだった。法座が終わるとお斎を頂いた。野菜や穀類を中心とする精進料理。この日も地元でとれた新鮮な材料がおいしく調理されていた。このお斎を頂くと肉や魚をそれほど口にできなかった終戦直後の食卓を思い出す。

 わずかな広さの畑で両親が作る大根や玉ネギ、ジャガイモなどがおかずの中心だった。保存できるサツマイモやサトイモもよく並んだ。これらが煮しめや、おひたしになって食卓に上った。キュウリやカボチャ、トマトなど色鮮やかな季節野菜が加わると食欲が増した。

 同じ食材を使いないながら、毎日の食事を工夫していた母はすごかったんだな、とつくづく思う。こうした親の愛情のおかげでひもじい思いはしなかった。

 豊かさが当たり前のようになっている現在、私たちの命をつないでくれている食べ物と、それを作ってくれる人たちへの感謝を忘れてはいないか。お斎を頂き、しばし懐かしい思い出に浸りながら、わが身を振り返らせてもらった。

  (2012.01.30 中国新聞「明窓」掲載)e0hi岩國エッセイサロンより転載

東京砂漠

2012-01-29 14:53:12 | はがき随筆
 姪の東京での結婚式に、久しぶりの親子4人で参列した。
 若い2人の門出を祝福し、式も滞りなくお開きとなった。祝い酒での顔の火照りが、外の風に心地よかった。
 式服のまま式場の青山から横浜までタクシーを使った。これが、東京の運転手の典型。一言も口をきかない。おまけに目的地の直近にも行き着かないのに「すみません」の一言もない。
 「おめでとうございます。天気もよろしくて」ぐらいは言いたくなるのが人情だろう。祝いやわびの一言も言えないまでに人間味を喪失させたのも東京砂漠のせいだろう。
  肝付町 吉井三男 2012/1/28 毎日新聞鹿児島版掲載

冬の雨

2012-01-27 22:34:48 | はがき随筆
 ふと目を覚ました午前3時、静かな雨音が聞こえる。じっと耳を澄ましていると、がっしりと組まれた屋根瓦に当たる雨粒の一つ一つが、白く輝いて跳ねているように思える。
 タッ、タタッ、タッ。時々雨垂れのような音がする。切妻の屋根の上には樹木の板はないのに、どこから落ちてくるのだろう。あるいは家のきしむ音か? 
 よく降るなあ。畑の土の底の底までもうしっかりと染み込んだはずだ。タマネギやタカナもきっと喜んでいるだろう……。
 いつの間にか眠ったらしく再び目を覚ました。午前6時、雨は、まだやんでいなかった。
  出水市 中島征士 2012/1/27 毎日新聞鹿児島版掲載

寄って正月

2012-01-27 22:28:26 | はがき随筆
 正月を温泉付きログハウスで過ごそうと娘家族に誘われた。「温泉」に飛びつき元旦に1泊2日の始まりとなった。
 ログハウスはよく手入れされた広い竹林の中にあり、眺めもよく開放感に満ちている。
 キャッチボールで汗ばむと、七輪で餅やししゃもを焼き前祝い。お目当ての露天風呂に満足な私。陽が傾き持ち寄った正月料理と皆でギョーザを包み焼きし、温泉の湯気を立てながら乾杯。お年玉で元気の出た孫とほろ酔いの大人がトランプに夢中になり楽しい夜は更けてゆく。
 翌日も快晴、写真は今年一年を祈願してガッツポーズで。
  薩摩川内市 田中由利子 2012/1/26 毎日新聞鹿児島版掲載

ご縁

2012-01-27 22:20:45 | はがき随筆
 昨年始めて拙文がはがき随筆に掲載されて、ありがたいご縁をいただいた。
 毎日ペンクラブ鹿児島北薩支部の勉強会に声をかけていただいたのである。11人ほどの小さな集まりである。持ち寄ったミニエッセーを1人ずつ読んで忌憚なく合評し合った。会員のご自宅が会場になったこともあるが、昼食をはさんで実に和やかな雰囲気の中、あっという間の4時間だった。はがき随筆の250字ほどの文章は、韻文と変わらない凝縮性と巧みな措辞が必要と認識させられた。投稿欄の裾野の広さに驚きと感謝の念でいっぱいである。
  薩摩川内市 石原修(53) 2012/1/25 毎日新聞鹿児島版掲載

はがき随筆12月度入選

2012-01-27 21:50:02 | 受賞作品
 はがき随筆12月度の入選作品が決まりました。
▽出水市下知識町、塩田きぬ子さん(61)の「子宝」(10日)
▽姶良市西餅田、山下恰さん(65)の「日暦」(17日)
▽肝付町前田、永瀬悦子さん(53)の「年金波止場」

──の3作品です。

 暮れから新年にかけて、東北災害関係のテレビ番組をたくさん見ました。その中で心に残った言葉を二つ。「心は流されない」。「笑顔でいてください、不幸は悲しい顔が好きですから」。生きる力の出る言葉です。
 平成24年が始まりました。皆さんも言葉の力を信じて、すばらしい随筆に挑戦してください。
 塩田きぬ子さんの「子宝」は、貧しくても子宝があるが口癖の両親のもとに育ったが、今や老婆とは誰も暮らしていない。法人ホームに見舞いに行くと、入所者の「子宝」という書が貼ってあり、その前を逃げるように帰って来たという、身につまされる内容です。
 山下恰さんの「日暦」は、日めくりの暦に書いてある処世訓などを、朝食の時に話してくれた祖父の思い出です。日めくりを復活させ、孫に話を聞かせても、信じるかどうか自信がない。暦が共通話題だったころへの懐旧の念です。
 永瀬悦子さんの「年金波止場」は、昔住んでいた古い家を、両親は別荘と呼んで手入れに通っている。その港町の堤防は釣り客で賑わっているが、そこでの会話も楽しいらしい。名づけて年金波止場。このような交流の場があるのはいいですね。
 優秀作のほかに3編を紹介します。
 鹿屋市寿、小幡晋一郎さん(79)の「神様も誤算を」(25日)は、都井岬で聞いた寓話の紹介ですが、それが現在の長寿社会への風刺になっています。大昔、神様が動物の年定めをした時に、人間だけは欲張って長寿を望んだというものです。その結果は。
 肝付町新富、鳥取部京子さん(72)の「美しい洋食皿」(6日)は、金物店で、陳列の皿に触れたら壊れてしまった。そのまま店を出ようとしたが、やはり気になって店主にいうと、もともと割れていたということがわかりホッとしたという内容です。
 志布志市志布志町、一木法明さん(76)の「霜月の風」は、かつては11月ともなると、稲こぎ、わらこずみなど季節の推移を感じさせてくれるものがあったが、今はそういうものが何にもない。田の神様だけが元のまま立っているという、寂しい風景です。
 (鹿児島大学名誉教授・石田忠彦)

ある学校

2012-01-27 21:42:07 | はがき随筆
 つれづれなるままに「はがき随筆」の投稿者の名をメモし始めてある事に気づいた。これはまさに数十人の生徒が紙上に集う「学級」ではないかと……。よく表彰されるが気まぐれな友やコツコツとひたすら通う友。銘々が日常の家庭生活や日ごろの思いの丈を記して持ち寄る。新入生はうれしいが、不登校や長期欠席者はクラス年齢が高いが故に心配の種となる。体調を崩しての入院かなどと……。将来この「学級」の全生徒が一堂に会することはおそらく無いだろう。それでも私たちクラス仲間は、今日もリポートを通して互いの絆を確かめ合っている。
  霧島市 久野茂樹 2012/1/24 毎日新聞鹿児島版掲載

早春の旅立ち

2012-01-27 21:35:13 | はがき随筆
 車を降りると、出水平野が目の前に広がり、マナヅル、ナベヅルなど万羽はいるだろう。餌を分け合って鴨が交じり、その賑やかな合唱に驚かされる。
 広い1枚の田んぼに水が張ってあり、そこにツルは片足を上げて立って寝るらしい。鶴は、時々いっせいに首を上げて同じ方向を見る。
 親鶴の間に鶴の子を入れ、共に走りながら地を蹴って飛び上がる練習を繰り返す。優しく強い親の愛情が思われる。
 遠くに悠然とした鶴の姿も見え、出水平野に早春の息吹が戻って来た。鶴の子よ、元気で戻っておいで。心より祈る。
  鹿屋市 小幡由美子 2012/1/23 毎日新聞鹿児島版掲載

トルコ紀行

2012-01-27 21:27:06 | はがき随筆
 恥を晒すことになるが、トロイ遺跡がトルコにあることを知らなかった。古代遺跡はギリシャと思い込んでいてエーゲ海とセットになっていた。ダーダネル海峡をアジアサイドに渡り、オリーブ畑が点在する海沿いの道を小高い丘に登ると巨大な木馬が置かれていて紀元前の世界がそこにあった。見下ろす先はエーゲ海で、青い空を映している。大理石の柱に支えられたであろう神殿や宮殿の痕跡もただ巨大な石として無造作に放置されている。原形をとどめるのはオデオン(小劇場)だけだが4000年の歴史の上に立つ感動でトルコの旅はスタートした。
  志布志市 若宮庸成 2012/1/22 毎日新聞鹿児島版掲載

燃える桜島

2012-01-26 12:50:02 | アカショウビンのつぶやき


新燃岳の大噴火から1年たった。
今は不気味な静けさを保っているが、こちらの桜島は異常な噴火活動を続けている。

ついに、平野防災担当相も視察に来られた。

昨年の1千回に届きそうな噴火には驚いたが、今年は更に回数が多くなった。
今日(1月26日)現在、既に158回。このペースだと1000回どころか2000回になりそう。

爆発音、風震、携帯の桜島噴火情報にも慣れっこになってしまった。

この慣れが一番コワイ!
火山、地震列島に生きる私たち、どのように備えれば良いのか、明日の事ではないのだが…。

歌い初め

2012-01-26 12:14:43 | アカショウビンのつぶやき


今年の歌い初めは16日でした。
参加者はややすくなかったのですが、T先生がとっても楽しいテキストを紹介してくださり、ビデオで確認しながらの歌い初めでした。





楽しい持ち寄りランチです。

テキストの一頁を紹介します。


☆裏声で生活しよう
3日間実践すると声域は3度あがり、
高齢者ほど効果は顕著だそうです。
やってみまーす