戦争を知らない私が聞いた話である。赤紙が届き、夫は幼い子2人と妻を残し出征した。昭和20年6月18日、沖縄で戦死した。届いた骨つぼには石ころが2個入ってた。戦友から夫の戦死の様子を聞いた。激しい米軍の攻撃のときも「俺には弾は当たらない」と防空壕から出て水くみに行った勇者だったという。妻の意地を貫こうと覚悟したときは28歳だった。手を合わせると遺影はやさしくほほ笑んだ。「恥ずかしながらただ今帰りました」と夫が帰って来る気がして待ち続けた。
気がついたら98歳になっていた。大先輩の偉業に私は目頭が熱くなった。
出水市 古井きみえ 2017/11/29 毎日新聞鹿児島版掲載
気がついたら98歳になっていた。大先輩の偉業に私は目頭が熱くなった。
出水市 古井きみえ 2017/11/29 毎日新聞鹿児島版掲載