寒さ厳しい中にも「春遠からじ」の兆しは、あちこちの身近なところで感じられる。ささやかな年中行事の一つ、立春にひな人形を飾ることから、わが家の春は訪れる。
居間から見える四方に、枝を張った古木の白梅を手折り、菜の花を添えるだけで、閉ざしがちだった部屋中に明るさとぬくもりが満ちて、自然と心身が外へ向いてしまう。
嫁いだ娘の年齢と同じ時を経て、きらびやかなお召し物も色あせ、色白の端正なお顔立ちも染みが増えられた。「老雛(おいびな)」に我が身を重ね合わせ、いつになくいとおしい春待ちの日々。
鹿屋市 神田橋弘子(70) 2008/2/29 毎日新聞鹿児島版掲載
居間から見える四方に、枝を張った古木の白梅を手折り、菜の花を添えるだけで、閉ざしがちだった部屋中に明るさとぬくもりが満ちて、自然と心身が外へ向いてしまう。
嫁いだ娘の年齢と同じ時を経て、きらびやかなお召し物も色あせ、色白の端正なお顔立ちも染みが増えられた。「老雛(おいびな)」に我が身を重ね合わせ、いつになくいとおしい春待ちの日々。
鹿屋市 神田橋弘子(70) 2008/2/29 毎日新聞鹿児島版掲載