空高く白い三日月がくっきりと金色に見え始めると、川沿いや木立の中で、ほわっほわっと光り出した。「ほらあそこ。あ、ここにも。ホタルだ! ホタルだ」鑑賞会に集まった子どもたちが歓声をあげる。
個々で点滅していたホタルはいつの間にか集まり、一斉に光り一斉に滅する。暗闇が一瞬明るくなり、また暗闇に戻る。同じリズムで点滅するホタルを見ていると、自分が今どこにいるのかを忘れそうだ。
97歳の母を見送り、ポッカリ穴のあいた私の心にやさしい光がしみる。あのホタルの中の1匹は母だったのかもしれない。
宮崎市 四位久美子(72) 2022.5.28 毎日新聞鹿児島版掲載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます