何気なく目を上げると、「瞑想の森」の文字。赤松の木の根元に、誰が置いたか小さな板きれ。30年前のことである。
生活に追われ、見過ごしてきた幾多のこと。退職を機に、一つ一つが少しずつよみがえる。
若い頃、雑踏を離れ霧島の静寂に溶け込むのが好きだった。新燃岳へ続く韓国岳の裾野。赤松林のただ中、落葉の一画に腰を下ろす。行くべき姿を、山々と語り合った夢のような一時。
森閑とした場所で、今なら何を瞑想するだろうか。噴火で荒れた森が回復するには、数百~千年の月日を要するという。
瞑想の森は未来へ春銀河
鹿児島県霧島市 秋野三歩(65) 2022.5.14 毎日新聞鹿児島版掲載
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