はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

つりがね草

2021-07-03 15:42:20 | はがき随筆
 彼は、戦後食糧難の時代に低出生体重児だった。農家の厳しい生活。産後は背に負われ、飢餓の中でやっと生をつなげていたと後年、聞いた。戦争体験者の気性の激しい父親に似ず、性格は温厚でおっとり型。
 共通点は生前花好きだった父親の影響で、夫婦で花作りを楽しんでいる。
 「これがあるか」。バケツの中にピンクのつりがね草。やさしいほのかな匂いが立つ。ポッと胸が暖かくなる。なんと心和む色彩か。
 母の日は、言葉が一番心地良い。来年はどんな花をもらえるかな。
 鹿児島県鹿屋市 春野フキ子(71) 2021/5/28 毎日新聞鹿児島版掲載供え


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