はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

歴史探訪

2006-05-15 21:38:45 | はがき随筆
 水俣の源光寺は花木の中に風格を備え堂々と建っていた。本堂の裏で念仏を唱えたという板張り2畳ほどの暗い隠れ部屋に通された。
 島津氏の一向宗団弾圧の目を凌ぎ夜中に寺の床下から出入りし説教を聞き闇に去るも捕まり拷問の悲劇は絶えなかったという。浄土真宗にすがる信者の逞しさが伝わって来る。
 そして徳富家を見学し「吠え狂う 八重の汐路を 凌ぎ来て 心静けく 港に入りぬ」と蘇峰の晩年の句を胸に、しばしいにしえの風が参加者の心を吹き抜け意義のある探訪となった。
   薩摩川内市宮里町 田中由利子(64) 2006/5/15 掲載

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