「腫瘍マーカーが高いですね」。医師の言葉に不安をぬぐいきれないでいる。2年前、胃の不調を訴える夫に食道がんが見つかった。「このままだとあと1年…」。今は、もう存在しなかったかもしれない時を生きている。心配性の私を尻目に、楽天家の夫は超ポジティブに日々を楽しんでいる。花をたくさん植えてめでている。病院帰りに求めた花鉢も、昨年より多くの花をつけた。不安を打ち消すように見事に。容体を案じる私に、先生の言葉。「『神のみぞ知る』です」と。最近少しばかり耳の遠くなった夫は「神のみそ汁?」。私は吹き出した。
出水市 伊尻清子(59) 2009/5/4 毎日新聞鹿児島版掲載
出水市 伊尻清子(59) 2009/5/4 毎日新聞鹿児島版掲載
上智大学のデーケン先生は
「…にもかかわらず、ユーモアを!」と言われました。
伊尻さんのご主人の明るく生きる姿勢に拍手です。