砲弾がさく裂する中や戦火の中を逃げ惑ったわけではない。5歳のぼくが実感した戦争は、立川と調布の中間に住み、二つの飛行場が焼き尽くされる光景と、空襲警報で2歳の妹を背負い、母に手を引かれて赤松林へ逃げ、キラキラ輝くB29編隊を見上げたこと。そして兵隊姿の父の面会に行った記憶である。
平和は唐突にやってきた。敗戦である。6歳のぼくには、父がいて逃げ隠れせずに済む毎日、安心安全が平和だと思えた。その平和は空腹と停電の日々でもあった。
ウクライナの平和を願いながら……。
鹿児島県志布志市 若宮庸成(82) 2022.4.22 毎日新聞鹿児島版掲載