「とんとむかし」と話が核心に近付くと子供たちの瞳が輝いてくるのが分る。僕はその姿に「うんだもー(あらまあ)」と心がほんわかとなった。
物語はふるさとに伝わる「しびの鬼むこ」。母が機転を利かして鬼から娘を取り戻す話。紙芝居を始めた当初、「今の子供たちに紙芝居なんて」とも思ったが、喜んでもらったことが意外だった。
こうして機会あるごとに「紙芝居の読み聞かせ」をしている。身近な伝説を絵にまとめて身近な人に演じ、輝く瞳や希望を持つ子供たちとじかに接するところが魅力である。
鹿児島県さつま町 小向井一成(74) 2022.10.8 毎日新聞鹿児島版掲載