緑ヶ丘・第二幼稚園 最新かがやき日記

緑ヶ丘・第二幼稚園のかがやく子ども達の成長を見守り、親も教師も園長も子どもに負けず共に成長する日々を綴った日記です。

イタリア レッジョエミリア市の幼児教育

2008年08月13日 21時02分57秒 | 教育

平成20年8月13日(水) 

 今日からは、「お盆」正式には「盂蘭盆会」です。

朝から 初盆関係のお宅を次々に訪問して、お参りさせていただき、

心から故人を偲び合掌。

改めて生前の遺徳を感じたり、短いあっけない生涯を惜しんだり

故人にまつわる色々な想い出に浸っていました。

 

 さて、昨日 8月12日の産経新聞に、気になる記事がありました。

 

イタリア北部のレッジョエミリア市で行われている保育が

「美術を主体、想像力育てる」として、

以下のように紹介されていました。

 イタリア レッジョエミリア市 

注目集める独特の幼児教育 2008.8.12

子供たちが自由に創作を楽しむ幼児施設のアトリエ
Immagini(C)Scuole e Nidi d’infanzi a-Istituzione del Comune di Reggio Emilia=レッジョ・エミリア市     
子供たちが自由に創作を楽しむ幼児施設のアトリエImmagini(C)Scuole e Nidi d’infanzi a-Istituzione del Comune di Reggio Emilia=レッジョ・エミリア市

■美術を主体、想像力育てる

 イタリア北部のレッジョエミリア市で行われている、0歳から6歳までの子供が集う幼児施設の美術を主体に想像力と創造力を養う教育が、世界の教育関係者やデザイナーらから注目されている。

今夏、その教育現場をリポートした書籍が、日本で発売された。書籍づくりに協力した、イタリア文化に詳しい三浦健次さん(42才)に、同市で実践されているユニークな教育手法の魅力について聞いた。(渋沢和彦)

 刊行された書籍は『子ども、空間、関係性 幼児期のための環境のメタプロジェクト』(学習研究社)。

イタリア・ミラノにあるデザインの教育・研究機関、ドムス・アカデミーと同市との共同研究をまとめた一冊で、教育者やデザイナーらのリポートとともに、市の幼児施設の空間が、豊富な写真で紹介されている。

 三浦さんは、現代イタリアのアートやデザインについての紹介、セミナー開催などを行う民間企業「Shiodomeitaliaクリエイティブ・センター」(東京・東新橋)のマネージング・ディレクターを務めており、同アカデミーで都市デザインなどを学んだ。

 「レッジョエミリア市では、子供が持つ可能性を引き出すことができる空間とは何かを、行政、教育者、デザイナーだけではなく、保護者も含め、みんなで考えています」

 教育内容は、計算や読み書きよりも、美術に重点を置いている。その象徴的なものが「アトリエ」と呼ばれる作業空間で、広さの違いはあるものの、市内に33施設ある保育園、幼稚園のすべてに備えられている。

 「石や葉っぱなどさまざまな物が置かれていて、そこにあるもので自発的に何かを作り始めます。親や大人に強要されず、何をやってもいい。イマジネーションを見いだす空間です」と三浦さん。また、先生や保護者が子供の創造性を観察する場にもなっているという。

 施設内は「用途によって自由に部屋を仕切れるように」と、壁は基本的に可動式だ。とりわけ日本と大きく異なる点は色を多用している点だという。

 「日本の幼児施設はおおむね色のない世界ですが、イタリアは色彩が豊富。使われている家具などもカラフルで、色のバランスが考えられている。色を大事にしているからこそ、幼いころから色彩感覚が養われるのです。グレーの施設にいる子とは、描く絵もまったく違います」

 三浦さんが働く同センターには、実際に同市の幼児施設で使われている家具や遊具が置かれている。

 「日本の教育では早く答えを出すことや多くのことを覚えることが評価につながります。しかし、レッジョエミリア市では、感じることや自分で考えることを重んじています。だから創作を楽しむことを幼いころから教えています」

 同市では子供たちの作品を、市が運営する団体「レッジョ・チルドレン」が管理。作品写真集の販売をはじめ、作品を使ったセミナーや視察団の受け入れなどを行っている。

 「市は子供を財産として考えています。子供たちを大事に育てることで将来の人材を育て、それによって市の産業が発展すると考えているのです」

 日本では平成13年、同市の幼児教育にスポットを当てた展覧会「子どもたちの100の言葉」展が開催されるなどして、知られるようになってきた。

三浦さんは「この本を、日本の教育者だけではなく、デザイナーやアート関係者にも読んでもらい、幼児教育の充実に役立ててほしい」と話している。

…以上が記事の原文のままです。

 

実は、私はもう7年前に、日本の各地でレッジョエミリアの子どもたちの

『こどもたちの100のことば』展http://www.watarium.co.jp/exhibition/0104reggio/index.html

が開催されている頃に、噂を聞き、それを最初に企画した

学習研究社の保育雑誌の中島編集長を北九州市にお招きして、

現地のスライドの数々をみせていただきながら その教育内容の実際を

詳細におききしたことを鮮明に思い出しました。

 私の知っている限りでは、美術が主体というよりも

環境の大事さが問題で、いかに独創的な「考える力」を伸ばすか?

だったと思うのですが…

http://www.kokuyo.co.jp/hiramekilab/report/vol1/italy03.html

もうあれから数年後、世界中の多くの幼児教育関係者が視察している筈です。

それで、 今回の『子ども、空間、関係性 幼児期のための環境のメタプロジェクト』(学習研究社)の本の紹介記事にドキリ。

 今回のこの記事を読むだけでは、誤解を生じかねません。

 所謂 「木を見て森を見ず」と言う状態…と危惧もしています。

 > 「教育内容は、計算や読み書きよりも、美術に重点を置いている。

> その象徴的なものが「アトリエ」と呼ばれる作業空間で、広さの違いはあるものの、

> 市内に33施設ある保育園、幼稚園のすべてに備えられている」

という文だけを読むと、

レッジオの保育は、美術や絵画教室の表現活動か…と誤解しそうです。

それを通して、実はその先に、子どもたちに育って欲しいものがたくさんあるのです。

 

市民の声から始まった、街ぐるみの教育プログラム

レッジョエミリアでは、6カ月から6歳までの年少の子供たちの

教育に特に力を入れています。

保育園(0~3歳)、幼児教育機関(3~6歳)を同じ組織で運営することで、

継続された教育を行っているのです。


 チーズやワインの産地として有名な北イタリアの都市、レッジョエミリアは、

子供の個性や創造性を重視したユニークな教育方法で知られます。

 就学率の低いイタリアで、レッジョエミリアの教育的水準と関心の高さは

群を抜いています。

 

 レッジョ・エミリアはイタリアの中でも最も裕福な土地と言われており、人口15万人、エミリア・ロマーニャ州(州都ボローニャ)の

中でも自治体と住民の協力関係が強いところです。車のフェラーリ (Ferrari)の本社がある Via Abetone Inferiore, 4の近くです。

生活協同組合の仕組みを19世紀に世界に先駆けて作り出したことでも有名で、

落書きなどがある地域とは全く違い、歴史を感じさせる重厚な建造物が広がるきれいな街並みの地域です。
 
 その市の運営する保育園が14箇所、幼稚園が18箇所あり、0歳から6歳までを無学級で教育しており、月謝の8割を市が
負担し、入園者の支払う額は2万円程度と言われています。この保育園は40年ほどの歴史があり、無学級制になってからも
約20年ほど経っています。
 

 園の建築のあり方やインテリア、家具にも独特のポリシーがあり、学ぶということにおける美的要素の大切さを強調している

ように見て取れ、教育する内容は芸術を主にしていますが、読み書き計算などを教えることはほとんどないのかどうかは、実は定かではない。

 その教育システムによって、この園で子ども達が作った物は独創性に富み、また歴史ある街並みや自然から得た豊かな感性

が生かされた作品に仕上がっています。

 作品には枝・葉・粘土・石・針金・ボルト・ガラス・布など様々な素材を使っていますが、ガラスや布などは市がリサイクルした物を使用しています。(リサイクルが徹底している町だそうです。)

 
子ども達の作品や園の教育システムなどを市外に対して管理しているのが、レッジョ・チルドレンという市が運営している会社
で、子ども達の作品の写真集を販売したり、2ヶ月に1回程度の割合で有料のセミナーを開いたりしています。今まで受入れた
視察団は94年から今日に至るまで90カ国から1万6千人に及び、注目度の高さをうかがい知る事ができます。
 

 2006年3月イギリスの保育関係者を主とするセミナーがありました。

 ものづくり大学の中村勉教授、NPO横浜教育サポートフォーラムの花岡崇一氏、JPホールディングスの山口社長、Kファイルズの小山代表、帝国器材からは高橋専務と営業の納谷さんが参加。

帝国器材は、すぐれた幼児教育を行うために、どのような家具が必要になるのか?という視点で園内を視察した。

日本から直接レッジョエミリアを見学した企業はまだほとんどない(もしかしたら初?)ようです。  参考→帝国器材HOME

今後、帝国器材ではレッジョエミリアを参考にした、日本の環境にあう使い方も含めた「幼児用家具」を提案する予定だそうです。

 

でも、あちらでよさそうに見えても、そのまま真似ても日本でうまくいくとは限らない気もするのです。

なぜなら、レッジョエミリアのまちは、どこもかしこも町全体が

博物館・美術館状態。道端や広場にも美術品があふれているところ。
本物の迫力ある美的な環境で暮らす子どもたちですから…

 そもそも、幼児施設を作るという発想は、

市民の間から持ち上がったものでした。

レッジョエミリア市乳幼児センター・幼児学校の施設代表、

サンドラ・ピッチニーニ女史は、設立の発端を以下のように語ります。

 「第二次世界大戦直後の1945年、労働者階級の市民たちが、

街に残されていた戦車を売って幼児施設を作るための資金をまかないました。

その後、市民たちの草の根的な要求に対応する形で、

レッジョエミリア市が運営する幼児学校が数多く生まれていったのです」

 参考に↓

『子ども、空間、関係性 幼児期のための環境のメタプロジェクト』(学習研究社) 

30-11223-101 定価:4,725円(本体4,500円) 2008年5月刊行

北イタリア、レッジョ・エミリア市の市立乳幼児保育所および幼児学校における

先進的な幼児教育の取り組みは、現在国際的に注目を集めています。

 40年近く培われてきたレッジョ・アプローチに基づく、

幼児期の環境に関する研究が建築や産業デザイン等で有名な

ミラノの大学院大学 ドムス・アカデミーとの共同研究でまとめられました。

保育の環境を考えるのに参考になる一冊です。

編著:レッジョ・チルドレン
     ドムス・アカデミー・リサーチセンター 
●翻訳:田邊敬子
●体裁:A4判
●本文164ページ(オールカラー)
 

 さて、『こどもたちの100のことば』を もう一度 読み直してみましょう! 

フィンランドのように、将来に投資をする必要性(不景気でも教育に全力)、

レッジョエミリアのように、過去(歴史遺産)と未来(子育て、教育)に

本腰で取り組む必要性を感じます。

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