児童文学作家の高科正信先生の初回の授業は「子どもの宇宙」→「子どものように笑うこと」がテーマでした。
毎年違うテーマでお話をされますが、今年は子どもの本の話を中心に話されるそうです。
まずはじめに「大人の文学」と「子どもの文学」についてのお話です。
「大人の文学」 →問いかけの文学(生と死、友情とは?)
「子どもの文学」→その問いに答える文学〔幸せのありかたを提示する・手引き書)
河合隼雄さんの『子どもの宇宙』の中に、
この宇宙のなかに子どもたちがいる。これは誰でも知っている。
しかし、ひとりひとりの子どもの中に宇宙があることを、誰もが知っているだろうか。
大人になるということは、子どもたちのもつこのような素晴らしい宇宙の存在を、少しずつ忘れ去ってゆく課程なのかとさえ思う。と、あります。
では、子どもはいつ大人になるのだろう……
長田弘さんは、「こころが痛い」としかいえない痛みを、はじめて自分に知ったとき。と書き綴られていました。 *『深呼吸の必要』の「あのときかもしれない」を参照してください。
「子どもの文学」は子どもだけでなくもちろん大人も読み、大人は「子どもの文学」絵本を読むことで、子ども時代に戻ることが出来ます。
今日の授業は、子どもに戻れる絵本を紹介していただきました。
『つるばら つるばら』大島弓子
8才の主人公の精神年齢は二十歳。
二十歳の青年が大きな声を出して泣くのは恥ずかしいことと思い泣くのを我慢するが、声を出して泣くことで8才の子どもに戻ることが出来る。
『もりのなか』 マリー・ホール・エッツ
『また もりへ』マリー・ホール・エッツ
この「もり」とは、お母さんのお腹の中ではないのか… 子どもは一番安全で安心する場所に帰りたくなる。
『また もりへ』の見返しには、透明の動物が描かれている。これは、子どもには見えるがお父さんには見えないことを表している。
この2冊の絵本は、「……しました」「……でした」という同じ文章の繰り返しが多いです。
子どもがくり返し文章を書いてしまうのは、退屈しているのではなく、子どもの一日の出来事があまりにも多くて、原稿用紙にうめるには、あまりに言葉がもどかしいいから。
と、映画評論家の川本三郎さんがおっしゃっていたそうです。
その他、大人の中に子どもをもっている作家の絵本を紹介されました。
『どんどんどんどん』片山健
『キャベツくん』 長新太
『みずまき』 木葉井悦子
どの絵本もお話の中に入って、子どもに戻れてしまいます。
そんな子どもの絵本がたくさんあり、高科先生の授業では毎回違うテーマで絵本を紹介してくださいます。
次回9月2日(水)は「子どもの願い」がテーマです。
【課題】
ひらがなだけを使って、ひらがなの読み書きが出来るようになった子ども(6才前後)に読んでもらう文章
・テーマ「夏」
夏にかかわるお話を書いて下さい。
縦書きの原稿用紙に枚数は自由。
・締切 8月26日(水)
*高科先生からのお知らせ*
『たぬきがくるよ』BL出版 7月17日出版予定
絵話塾イラストの講師でもある、寺門孝之先生が絵を担当されています。
9月15日~27日にはギャラリーvieでの展覧会も決定しました!
今から楽しみですね!!