絵話塾の生徒さんから、「どうしたら、絵本作家に/イラストレーターに なれますか?」という質問が出ることがあります。
すると、ある先生は「なれるまで続ける(やめない)ことです」と答えたそうです。
では、「もしなれたらどうしたらよいですか?」と訊かれたら、高科先生なら「次をつくることです」と答えるでしょうとのこと。
それだけ描き続けること、書き続けること、制作をやめないことは大切なことなんですね。
職人さんの世界でも、長年続けていると知らず知らずのうちに身についていくものがありますから
皆さんも “何か” を続けてみるのも良いのではないでしょうか?
ということで、テキスト『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書)のP167〜176を見ていきました。
・子ども川柳に学ぶ
→子どもは、思いもよらない言葉でたとえたりして、新鮮である。
・ノートに書き留めた言葉の問答集
→人の話や本を読んでいて、自分の心の琴線にひっかかったこと、共鳴した言葉などを書き留めておくのも良い。
内容だけでなく、言い回しも参考になる。
その後、朝日新聞に連載中の鷲田清一さんが選んだ『折々のことば』から、高科先生がセレクトした6作品を紹介していただきました。
年齢も経歴もさまざまな人が発した、“ちょっといい話” 。これを知ったら、ちょっと使ってみたくなります。
実際、中島らもの「一人の人間の1日には、必ず一人『その日の天使』がついている。」というのを、授業後半で引用していた人もいました。
続いて、前回から取り上げている『日本語のレトリック:文章表現の技法』(瀬戸賢一/岩波ジュニア文庫) の続き
・「直喩」…類似点を明示する のところを見ていきました。
もとは別のもの同士の間に類似点を見つけて、組み合わせるのが比喩表現で、直喩では「〜のようだ」という言い回しをします。
ただ、隠喩と直喩の間には中間形態も存在します。たとえが突飛すぎると意味が伝わらず、説明しすぎると比喩のインパクトが弱まって品格も落ちていきます。やり過ぎないよう、気をつけましょう。なるべく短く、コンパクトにたとえることを心がけます。
先ほどの「折々のことば」のように、良いな!と思う比喩表現に出会ったら、書き留めておくのもよいでしょう。
休憩をはさんで後半は、かこさとし+福岡伸一の『ちっちゃな科学』(中公新書ラクレ)から、「はじめに〜大切なことは “小自然” から学んだ」の箇所を見ていきました。
昆虫少年だった生物学者の福岡氏は、小学生の時に かこさとし さんの『かわ』(福音館書店)という絵本に出会います。(初版は1962年)
それから何十年も経って、共著を出版できる喜びを福岡氏は かこさん への感謝を込めて綴っておられました。
そして、『かわ』を読み聞かせていただきました。
かこさんには、ものがたり絵本もたくさんありますが、『かわ』のように科学・知識絵本も多く出版されています。
高科先生も、もし子どもの頃に『かわ』のような作品に出会っていたら、自分の体験や思いを書くときに役に立っていただろうとおっしゃっていました。
最後に、今回の課題は「嘘をつく(謀る・たばかる)」です。
嘘をつくことに関するエッセイとかではなく、実際に内容が「嘘(=実際のことではない)」の話を書いてください。
どんな嘘でもかまいません。ほら話、妄想話、もっともらしい嘘の話、見てきたような嘘の話…何でも良いですが、暗い話より、読んで笑えるような明るい話が良いですね。
参考図書として、寺村輝夫の『ぞうのたまごの たまごやき』(絵 和歌山静子/理論社)を紹介していただきました。(※1984年には福音館書店の「から長新太の絵で出ています) 」
たまごのすきな王さまに赤ちゃんが生まれ、お祝いに国中の人にたまご焼きをごちそうすることになって、ゾウのたまごを探しに行くという物語です。(ゾウは卵で生まれるんでしたっけ !?)
こんな感じのクスッと笑えるお話が書けたら、良いですね!
提出は次回6月8日の授業の時です。
難しく考えず、まずは書いてみてください。書き始めると、案外転がるようにアイデアが湧いてくるかもしれません。