この日は「もう12月に入りましたね」ということから始まりました。
寒くなったので、高科先生はもう釣りに出かけてないそうですが、この日駅までの道でスミレとマルバアサガオが咲いているのを見かけたそうです。
小学校の生け垣にも冬桜が咲いていたそうですし、この季節でも周りを気をつけて見てみるといろんなものを発見できるのですね。
先生はよく身の回りの自然についてお話しされるのですが、私たちが日々の暮らしの中で見逃してしまうようなものでも、
先生のフィルターにかかるととても美しく興味深いものに変わるようで、素敵です。
ということで、まずはテキスト『日本語の<書き>方』(森山卓郎 著・岩波ジュニア新書)から見ていきました。
いつものように、交代で音読して繋いでいきます。
この日は、第2章 どんな「語」を使う?—ボキャブラリーの輝き から、以下の箇所を見ていきました。
1.言葉には使い分けがある
・よく似た言葉だけれど—カロリーオフとカロリーゼロの違い
・歩き方をどう表す?
・正確に、細かく、表現し分ける
・漢語・和語・外来語の意味の違い
2.言葉と意味の広がり
・「水筒持参」と言われたら
・「電話を切る」の意味とは?
・血圧はなぜ「高い」?
・「公算が大きい」? 「公算が高い」?
・慣れておきたい慣用的な表現
・慣用表現の注意点
「トコトコ」「そろりそろり」のように、皆で歩き方の表現を考えてそれぞれ発表していきました。
それぞれの表現で、どんな状況でどんな動き方をしているかを表しているのが詳しく分かります。
日本語には「オノマトペ」(擬音語や擬態語を表す言葉)がたくさんあり、雨の降り方や風の吹き方を表すものまであります。
読み手が理解できるならオリジナルのオノマトペを使うのも良いのですが、あまり多用せず、ココというときに使うのが望ましいそうです。
オノマトペでも音を表すときはカタカナ、様子を表すときは平仮名を用いるのが一般的です。
例えば「すごい」という言葉を使うとき、顔を見ながら会話する場合なら表情やニュアンスで “どうすごいか” を理解してもらえるかもしれませんが
文章の場合はそうはいきません。
文章の中で形容詞を使うときは常に、この言葉がいちばん適切なのか、他の言い方はないか考えるクセをつけると良いでしょう。
次々新しく出てくる外来語も、元々日本語にあった言葉なら、敢えて外来語を使わずに日本語で通すという方法もあります。
自分の文章のスタイルはどうすれば良いか、考えながら言葉を選択しましょう。
テキストの途中で、『日本語のレトリック 文章表現の技法』(瀬戸賢一 著・岩波ジュニア新書)へ飛び、「換喩」の箇所を見ていきました。
ここでは芥川龍之介の『羅生門』を例に挙げて、「市女笠」と「揉烏帽子」という言葉で、それらを身につけている人物のことを表して
“指示をずらす”テクニックを紹介していました。
また、「電話を切る」「手を貸す」「鍋が煮える」「モーツアルトを聴く」なども、本来の言葉の意味からはずれていても
どんなことを意味するかは理解できる比喩表現なのだそうです。
またテキストに戻り、慣用的な連語は覚えるしかないというところでは
「役不足」や「情けは人のためならず」も逆の意味で捉えている人が多いので気をつけましょうということでした。
どのような意味か疑わしいときは使わない方が賢明ですが、それでも使いたいときは辞書を引いたり
新聞記者などが使う用字用語の手引きを手元に置いて、確認しながら書けばよいでしょう。
慣用句は知ったら使いたくなるものですが、こちらもほどほどにして使いすぎないようにしてください。
続いては、まど・みちおさんが2014年に亡くなった直後の新聞記事と、インタビュー集『いわずにおれない』(集英社文庫)から
まどさんがどのような気持ちで詩を書いていたのかを見ていきました。
まどさんは、作品にメッセージを込めることはしません。世に出た作品は、受け手が自由に解釈すればよいという考え方で
ただ、「この作品はこんなふうに読まれたがっている」と思うだけなのだそうです。
これからも、まどさんも含め高科先生がお好きな何人かの詩人のことを、授業の中で紹介してくださるそうです。
最後は、前回提出した課題「アイについて」を皆に返却し、誰の「アイ」も被っていなかったことを教えてくださいました。
今回のように、他の人と重ならないよう独自性が出るテーマを選ぶのは大切なことです。
先生は、皆さんから提出された課題を少なくとも3回は読むのだそうです。
①提出後すぐざっと内容を確認(通読)、②一週間ほど経った頃隅々まで読み込んでコメントを付け(精読)、
③返却前に読み返して読み違えや読み漏らしがないか再確認(味読)してから返却するとか。
原稿を書く場合も、少なくとも3度は書き直すそうです。
①書き散らす ②(読み返して)手を加える ③清書する というふうに。
ただ、清書しても完全原稿にはなりません。
少し時間を置いて読み返すと、不備が見つかったり、別の表現方法が見つかったりして、再度書き直せばもっと良い作品になるからです。
高科先生の『はしをわたってしらないまちへ』(福音館書店 こどものとも)は、出版が決まってからでも10回くらい書き直したとか。
最後に、今回の課題です。
「てぶくろ、マフラー、ストーブ、こたつなど、人の体をあたたかくする冬のモノやコトについて」
好きな手法、好きなジャンル、好きな長さで書いてください。
手書き、パソコン、どんな手法でもかまいませんが、提出する原稿は読みやすく仕上げることを心がけましょう。
この日習った “どんな語を使うか” に気をつけて、人と重ならない独自性のある内容で書けるよう頑張ってくださいね!
次回は12月18日の17時から。年内最後になりますので、よろしくお願いします。
寒くなったので、高科先生はもう釣りに出かけてないそうですが、この日駅までの道でスミレとマルバアサガオが咲いているのを見かけたそうです。
小学校の生け垣にも冬桜が咲いていたそうですし、この季節でも周りを気をつけて見てみるといろんなものを発見できるのですね。
先生はよく身の回りの自然についてお話しされるのですが、私たちが日々の暮らしの中で見逃してしまうようなものでも、
先生のフィルターにかかるととても美しく興味深いものに変わるようで、素敵です。
ということで、まずはテキスト『日本語の<書き>方』(森山卓郎 著・岩波ジュニア新書)から見ていきました。
いつものように、交代で音読して繋いでいきます。
この日は、第2章 どんな「語」を使う?—ボキャブラリーの輝き から、以下の箇所を見ていきました。
1.言葉には使い分けがある
・よく似た言葉だけれど—カロリーオフとカロリーゼロの違い
・歩き方をどう表す?
・正確に、細かく、表現し分ける
・漢語・和語・外来語の意味の違い
2.言葉と意味の広がり
・「水筒持参」と言われたら
・「電話を切る」の意味とは?
・血圧はなぜ「高い」?
・「公算が大きい」? 「公算が高い」?
・慣れておきたい慣用的な表現
・慣用表現の注意点
「トコトコ」「そろりそろり」のように、皆で歩き方の表現を考えてそれぞれ発表していきました。
それぞれの表現で、どんな状況でどんな動き方をしているかを表しているのが詳しく分かります。
日本語には「オノマトペ」(擬音語や擬態語を表す言葉)がたくさんあり、雨の降り方や風の吹き方を表すものまであります。
読み手が理解できるならオリジナルのオノマトペを使うのも良いのですが、あまり多用せず、ココというときに使うのが望ましいそうです。
オノマトペでも音を表すときはカタカナ、様子を表すときは平仮名を用いるのが一般的です。
例えば「すごい」という言葉を使うとき、顔を見ながら会話する場合なら表情やニュアンスで “どうすごいか” を理解してもらえるかもしれませんが
文章の場合はそうはいきません。
文章の中で形容詞を使うときは常に、この言葉がいちばん適切なのか、他の言い方はないか考えるクセをつけると良いでしょう。
次々新しく出てくる外来語も、元々日本語にあった言葉なら、敢えて外来語を使わずに日本語で通すという方法もあります。
自分の文章のスタイルはどうすれば良いか、考えながら言葉を選択しましょう。
テキストの途中で、『日本語のレトリック 文章表現の技法』(瀬戸賢一 著・岩波ジュニア新書)へ飛び、「換喩」の箇所を見ていきました。
ここでは芥川龍之介の『羅生門』を例に挙げて、「市女笠」と「揉烏帽子」という言葉で、それらを身につけている人物のことを表して
“指示をずらす”テクニックを紹介していました。
また、「電話を切る」「手を貸す」「鍋が煮える」「モーツアルトを聴く」なども、本来の言葉の意味からはずれていても
どんなことを意味するかは理解できる比喩表現なのだそうです。
またテキストに戻り、慣用的な連語は覚えるしかないというところでは
「役不足」や「情けは人のためならず」も逆の意味で捉えている人が多いので気をつけましょうということでした。
どのような意味か疑わしいときは使わない方が賢明ですが、それでも使いたいときは辞書を引いたり
新聞記者などが使う用字用語の手引きを手元に置いて、確認しながら書けばよいでしょう。
慣用句は知ったら使いたくなるものですが、こちらもほどほどにして使いすぎないようにしてください。
続いては、まど・みちおさんが2014年に亡くなった直後の新聞記事と、インタビュー集『いわずにおれない』(集英社文庫)から
まどさんがどのような気持ちで詩を書いていたのかを見ていきました。
まどさんは、作品にメッセージを込めることはしません。世に出た作品は、受け手が自由に解釈すればよいという考え方で
ただ、「この作品はこんなふうに読まれたがっている」と思うだけなのだそうです。
これからも、まどさんも含め高科先生がお好きな何人かの詩人のことを、授業の中で紹介してくださるそうです。
最後は、前回提出した課題「アイについて」を皆に返却し、誰の「アイ」も被っていなかったことを教えてくださいました。
今回のように、他の人と重ならないよう独自性が出るテーマを選ぶのは大切なことです。
先生は、皆さんから提出された課題を少なくとも3回は読むのだそうです。
①提出後すぐざっと内容を確認(通読)、②一週間ほど経った頃隅々まで読み込んでコメントを付け(精読)、
③返却前に読み返して読み違えや読み漏らしがないか再確認(味読)してから返却するとか。
原稿を書く場合も、少なくとも3度は書き直すそうです。
①書き散らす ②(読み返して)手を加える ③清書する というふうに。
ただ、清書しても完全原稿にはなりません。
少し時間を置いて読み返すと、不備が見つかったり、別の表現方法が見つかったりして、再度書き直せばもっと良い作品になるからです。
高科先生の『はしをわたってしらないまちへ』(福音館書店 こどものとも)は、出版が決まってからでも10回くらい書き直したとか。
最後に、今回の課題です。
「てぶくろ、マフラー、ストーブ、こたつなど、人の体をあたたかくする冬のモノやコトについて」
好きな手法、好きなジャンル、好きな長さで書いてください。
手書き、パソコン、どんな手法でもかまいませんが、提出する原稿は読みやすく仕上げることを心がけましょう。
この日習った “どんな語を使うか” に気をつけて、人と重ならない独自性のある内容で書けるよう頑張ってくださいね!
次回は12月18日の17時から。年内最後になりますので、よろしくお願いします。