本日は、はやしますみ先生の初回の授業です。
「私もみんなと同じように、絵話塾に通っていたのですよ」
「絵話塾の先生と生徒の間、階段の踊り場のような存在と思ってくださいね」
はやし先生が、絵話塾に通っていた時のお話しをお聞きしました。
「全ての授業に出席して、課題は全部仕上げる、そして一番前に座る」を目標に一年頑張ったそうです。
はやし先生のデビューのきっかけはコンペです。
絵話塾の修了展で展示した絵本『ねーねーのしっぽ』を、ピンポイントギャラリーが主催の絵本コンペに応募して優秀賞を受賞されました。
ピンポイントギャラリーで展覧会をし、そのあと絵本が出版されるのですが、当時のお話もお聞きしました。
絵話塾卒業生のはやし先生から、実際にお話が聞けるいい機会ですね。
はやし先生の授業はダミー本を発表して、直しを繰り返しながらブラッシュアップしていきます。
最後の授業でダミー本を完成するまでが目標です。
初めにデビュー作『とんとんとんだれですか』岩崎書店 を読み聞かせていただきました。
「とんとんとんだれですか」鬼のようなシルエットが玄関に立っています。
次のページをめくると正解が見えて、あ〜良かった、ホッとしたと、楽しい絵本です。
初めての絵本制作で、感動させようという考えではなく、笑わせようと思う気持ちで描いた方が、ウケがよいと実感したそうです。
『ねこぼん』偕成社 は、「フェスのように踊りまくる絵本を作りたい」と編集者からの提案で作った絵本。
実際、郡上八幡の盆踊りの取材にも行って、いろんな発見があったようです。
初めは文章を横書きで書いていたのですが、会話文を活かすのに縦書きに変えることになって、
縦書きに合う絵を描き直したというエピソードをお聞きしました。
次に『たんぼレストラン』ひかりのくに を読み聞かせていただきました。
生き物図鑑のような『たんぼレストラン』は、ダミーを作る前に実際にゲンゴロウやタガメを飼って観察したり、生き物に触れてスケッチを沢山描いたそうです。
絵本の土台をしっかり作ってから、ダミーを考えるとおっしゃっていました。
『たんぼレストラン』のダミー本は、20冊くらいあるそうです。
そして、エピソードを一つ、お話ししてくださりました。
『たんぼレストラン』のラフを考えている時、車の窓を開けて運転していたら、お米の花の匂いがしたので、このページを描いたそう。
絵本のことを考えていたら、ふとした時にヒントのような出会い(出来事)があるそうです。
はやし先生の授業は「直し力」を鍛える授業です。
・直す力を育てる
・絵本のダミーを作る
いいお話を作るのが目標ではなく、一つのお話を直して完成させることが目標です。
初めからきっちり描き込むと、捨てられなくなるので、ダミーはラフでいいです。
はやし先生は、ダミーを描くときクレヨンで描くそうです。
コピー用紙に白色を前面に塗ってから、黒やグレーで絵を描いていくのですが、描き直す時はティシュで拭き取ることが出来るのだそうです。
本日はたくさんのダミー本を見せていただきましたが、クレヨンを重ね塗りしているので、一枚の厚みにビックリしました。
手に取ってじっくりと見ることができて良かったです。
後半の授業では、「絵のかたまり」 の説明をお聞きしました。
絵本には「絵のかたまり」と「動き」を意識する(に気をつける)。
黒い紙をランダムに手でちぎって「絵のかたまり」を作ってみましょう。
何かの形が見えてきたら、白いペンで描き込みますが、なるべく手数を少なくして表現しましょう。初めのインスピレーションを光らせて考えて見てくださいね。
絵本の絵は、写実的に描くよりフォルムで形を表し、かたまりを意識して描く方が、楽しい画面として描くことが出来ます。
この一年で、一つの作品を作り込んでいく。
最初に作ろうと思った作品を最後まで仕上げる、「直す力」「やりとげる力」を身に付けてほしい。
とおっしゃっていました。
授業が終わってからも、熱心にダミー本を見たり、質問をしたりと熱い時間が過ぎました。