
金沢の観光スポットレポート その943(No.1352)
◇金沢城公園 石垣巡り‐5
2011年に石垣巡りを掲載したが、まいどさん勉強会や金沢城・兼六園研究会入会をきっかけとして、再度掘り下げてアップします。
<城内外連絡ルート>
1)玉泉院丸庭園に面した石垣郡
玉泉院丸に面した斜面一帯は、趣向を凝らした「切石積み」(色紙短冊積み)」の石垣が見られます。石垣の高さや向き、石の積み方から細部の加工に至るまで、表情豊かな石垣群は、玉泉院丸庭園の借景としての役割を担っていました。
玉泉院丸庭園は、加賀藩三代藩主「前田利常」による寛永11年(1634)の作庭を始まりとし、その後五代「綱紀」や十三代「斉泰」などの歴代の藩主により手を加えられながら、廃藩時まで金沢城内玉泉院丸に存在していた庭園です。
玉泉院丸は、古くは「西の丸」と呼ばれ重臣屋敷でした。慶長19年(1614)二代藩主前田利長が高岡で没した後、剃髪して金沢に戻った正室の玉泉院(永姫)の屋敷が造営されたため、玉泉院丸と称することになりった。



■写真は玉泉院丸庭園

2)色紙短冊積み石垣
玉泉院丸に面した斜面一帯には、趣向を凝らした「切石積み」の石垣が見られる。正面の石垣は、代表格で、最上部に黒色の石(坪野石)を使ったV字形の石樋(いしどい)を組み込み、落水の背景となる石垣中央には、3石の縦長石を段違いに配置するなど、庭園に面した場所ならではの意匠を持つ石垣。
・創建:寛永(1624~44)頃
・改修:貫文(1661~73)頃
*上部には建物がなく、V字型の石樋(坪野石)城内に引かれていた辰巳用水の水を落とすためのもので、下には滝つぼがあったと伝えられている。赤と青の戸室石を縦横に配し、デザインの一種として用いられ、一部に角を落とした石垣があるのは当たりを柔らかく感じさせるための工夫である。




■写真は色紙短冊積み石垣

■写真はV字型の石樋
撮影日:2018.7.他
(つづく)
■写真は