【天保十二年のシェイクスピア】
作 井上ひさし
演出 藤田俊太郎
音楽 宮川彬良
2024/12/14 日生劇場
今回のこの観劇は4年前のリベンジだ。
2020年、翌日に観劇を控え、友人と待ち合わせの時間を決めた日の夜、
コロナ禍で公演中止となり、呆然としたものだ。
この日まで上演されていたのに・・・
再演のチケットがゲットできたので、
友人と二人、日比谷の日生劇場に出かけてゆく。
前回は、主役、「佐渡の三世次」は高橋一生さんが演じていたと記憶している。
今回は浦井健治さん。
江戸の末期、天保年間。
語り部である百姓隊の隊長役の木場勝己さんが、静かに語り始める。
「もしもシェイクスピアがいなかったら~~♬」
と言う出演者全員の歌声から舞台は明るく幕を開ける。
下総国清滝村(しもうさのくにきよたきむら)の二つの旅籠を仕切る父(中村梅雀)が
3人の娘に自分への孝行心を問い、一番父を大切に思いながらおべっかを使えない三女が追い出されてしまう、
と言うところから物語が始まる。
お?リア王?
と思っていたら、ころころとモチーフが変わっていく。
マクベスあり、
真夏の夜の夢あり、
ハムレットあり、
ロミオとジュリエットあり・・・
悲劇も喜劇も入り混じり、
悪党、三世次(リチャード三世?)の悪だくみによる
そこそこ残忍なシーンもあるけれど、
そこは井上ひさしさんの作品なので、
なんとなくカラッと明るくなってしまう。
私もそんなにシェイクスピアを知らないけれど、
シェイクスピアを全く知らないと楽しめないかも。
ちょっとだけでも知ってるととても楽しい。
どさくさで名前を呼ぶだけどか、名前が「まくべえ」とか、
タイトルをバサッと出すだけ、とか、
ウォーリーを探せ!みたいにくすっと笑える。
全作品が散りばめられてるってわかるのは、
最後の口上のとき。
木場さんの存在感がハンパない。
いい声だし。
浦井さんの色気と軽やかさ、
女性陣の男前な感じ、
皆さん生き生きと魅力的。
なんとなく見終わった後スッキリとした。
前回の高橋一生さんの三世次が観られなかったのは返す返すも残念だけど、
今回は今回でたっぷり楽しませていただいた。
さて、今回の観劇のもう一つの目的、
それは劇場を見ること。
建築家村野藤吾氏が設計したこの劇場は、
建築物としても見どころ満載。
今回は人が多くて写真をあまり撮れなかったので
2年前に劇場の無料見学ツアーに参加した時の写真を貼り付けます。
エントランスホール
大理石の階段
この近くにある螺旋階段
さらに上の階にあがる螺旋階段
とにかく階段が美しい
あこや貝の貝殻が貼り付けられた天井は圧巻
ガウディを彷彿とさせる曲線
この空間で観劇できる幸せをかみしめる。
古い建物が次々と消えていく中、
有楽町にある帝国劇場ももうすぐ無くなってしまう。
古き良き時代の贅を尽くした建物が消えていくのは寂しい。
地震国である以上、仕方ないのかもしれないが
この劇場はヨーロッパのようにいつまでも残ってくれるといいな、と心から思う。
ちょっとお高いチケットにもかかわらず、
ご一緒してくれた大学時代からの友人に感謝感謝!
そして私はこの後、上京した友人とお食事するために、
丸の内に向かうのでした。
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