「崩御(ほうぎょ)」の使い方は滅多に使用しないだけに難しい。
「崩御あらせられました」が最高の表現だというが、「崩御され
た」でもいいのかしらん(引き続き研究課題)。
それはともかく、昭和天皇の崩御から32年の月日が流れた。昭和
史は、いよいよ歴史の世界に入りつつある。
『昭和天皇実録は』、平成2(1990)年から26(2014)年にかけ
て編纂され、同年に公表された。
東京書籍による出版は、平成27(2015)年から31(2019)年に
行われている。
大きな点では従来と変わりないが、ごく細かな点では新事実が
記述されている。
『昭和天皇実録』はむろん原典を読むのが一番だ。
新書版の「解説書」としては、
1.半藤・保阪・御厨・磯田『「昭和天皇実録」の謎を解く』(文
春新書2015)
2.原武史『「昭和天皇実録」を読む』(岩波新書2015)
などがある。
1は「文藝春秋」読者賞を受賞したものでお勧めだ。★×4.5
半藤 『実録』では本文の後に、その記述の根拠となった史料がずらりと並
べられているのですが、その羅列の仕方がまた・・・・・・
磯田 そこは、『明治天皇紀』の引用方式を採用した弊害ですね。一つの出
来事に関わる史料をずらずら並べるだけで、どこの部分がどこから引用され
たのかがわからない。参考文献などの引用の方法は現代の論文執筆と同じく、
一つ一つの事実ごとに明示する方式が、望ましいと思います。
2は取り上げ方にややクセがある。★×3
『昭和天皇実録』が編纂される前の本として、
1.岩見隆夫『陛下の御質問--昭和天皇と戦後政治』(徳間文庫
1995)
2.黒田勝弘・秦好秀編『昭和天皇語録』(講談社学術文庫2004)
がある。
いずれもまことに良書(★×5)であり、おもしろく読める。
なお、学術的な資料としては、
防衛庁防衛研究所戦史部監修、中尾裕次編集『昭和天皇発言記録
集成』全2巻(2003)が力作だ。
「「御下問綴」「御言葉綴」などの公文書、侍従長、侍従武官長、内大臣ら天
皇とじかに接した軍人・政治家の日記・回想など150点の文献から、昭和天皇
の発言記録を網羅的に収集」
「昭和天皇」というタイトルの本はいくつかあるが、新書版とし
ては次のようなものがある。
1.小堀桂一郎『昭和天皇』(PHP新書1999)★×3.5
2.原武史『昭和天皇』(岩波新書2008)★×3
3.古川隆久『昭和天皇』(中公新書2011)★×4.5(以前は4評価)
いずれも『昭和天皇実録』が公表される以前のものだ。
この中では、3の古川日大教授のものがもっともアカデミックだ。
(注)古川教授の言を借りれば、
1は「擁護論の立場の伝記としては最も詳しく、水準が高い」。
なお、関東軍が起こした柳条湖事件~満州事変には justify の立場。
2は「昭和天皇の祈祷者としての側面から昭和天皇像を再検討しようとした異色
作だが、著者本人が同書中で断っているように、仮説的な側面が強い」。
ちなみに、ハーバート・ヒックス『昭和天皇』については「著者の昭和天皇観
の妥当性については出版当時から日本では批判が少なくなく、昭和天皇に関す
る学術的研究が進んだ現在となっては事実関係の叙述についても不備が目立つ」。
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<時事放談>
○立民、共産、社民、れいわの4党が市民連合と政策合意。
立民が中心かと思いきや、立民が「左」に寄って行った?4党
内では盛り上がっているだろうが、はたしてこんなことが国の
政策たりうる?ガッカリ?
これでは「支持政党なし」層(35%。私もこの中。)の支持は
得られず、ますます政権から遠ざかるのでは?
自民党もむしろ喜んでいる?
そもそもWikipediaによれば、日本共産党と市民連合は、以前よ
り「共闘」しているという。
些細な違いであるならば、上記4党は統合してもいいのでは?
維新、国民はこの中には含まれていない(当然?)。
○そういえば市民連合で思い出したが、先日、書店で週刊東洋経
済を手に取ったら、山口二郎法大教授の連載がなくなっていた
(佐藤優氏の連載はあった)。
○高市早苗が立候補表明。岸田さんより「覇気」が感じられる。
プレゼンテーションが上手い。
○高市氏の記者会見で一部の報道関係者が「怒鳴り声を上げ」、
追及(攻撃?)したという。
私は、瞬間的に、昭和14年、東大法学部で講義する津田左右
吉博士に対して行われた、急進右翼学生(原理日本社)の攻
撃を思い出した。その時、止めに入ったのは、当時助手だっ
た丸山真男である。
この種「怒鳴り声」は、オーバーに言えば、ヒトラー親衛隊
や紅衛兵、暴力団の威嚇行為と変わらない。
記者クラブ等で話し合い、今後は、誰に対してであれ、大声、
怒鳴り声を上げる者は退場させる「ルール」にした方がよろ
しいのでは?
○自民党総裁選立候補者には、どなたであれ、今後、「悪口」
を言われるだろうが、皆さん、それへの備えは大丈夫かしら
ん。
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