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羅鍾一『ある北朝鮮テロリストの生と死 証言・ラングーン事件』

2021-06-18 05:00:00 | 読書

羅鍾一『ある北朝鮮テロリストの生と死 証言・ラングーン事件』
(集英社新書/2021/5/22新刊)を読む。

ラングーン事件は、今や忘れかけられているが、今から38年前、
韓国の全斗換大統領のビルマ(現ミャンマー)訪問に合わせ、北
朝鮮が全大統領の爆殺を狙い、ラングーン(現ヤンゴン)のアウ
ンサン廟を爆破した事件だ。

(注)アウンサン廟は建国の父アウンサン将軍を祀る墓所。アウンサン将軍の娘
 (長女)がアウンサンスーチーである。

全大統領は間一髪で爆破から免れたが、韓国やビルマの閣僚など
21名が犠牲となった。

北朝鮮は、「韓国の自作自演だ」と主張したが、ビルマ側の捜査
の結果、北朝鮮工作員3人による犯行であることが裏付けられた。

3人のうち、一人は銃撃戦で死亡。一人はビルマでの裁判の結果、
死刑。
残る一人カン・ミンチョルは自白の結果、死刑から終身刑に減刑。

本書は、実行犯の一人カン・ミンチョルにスポットを当て、ラン
グーン事件を振り返ったノンフィクションの力作だ。

結局、カン・ミンチョルはビルマで服役中に病死する。

<目次>
プロローグ ビルマの聖地アウンサン廟で何が起きたか
1.南北分断の悲劇
2.光州民主化運動とラングーン事件
3.「菊花作戦」と全斗換大統領のビルマ訪問
4.歴史的な場所、アウンサン廟の爆破事件
5.テロリストたちの運命
6.祖国に捨てられたテロリストたち
7.テロリスト、カン・ミンチョルの生と死
8.生と死の狭間で苦悩したカン・ミンチョル
エピローグ 忘れられたテロリストの死を哀悼して


関連年表--1980年代
1980/9/1-1988/2/24 全斗換大統領
1980/5/18-27 光州事件
1983/10/9 ラングーン事件
1987/11/29 大韓航空機爆破事件
1988/9/17-10/2 ソウルオリンピック


なお、本書p.114
 アウンサン将軍は太平洋戦争当時、日本軍の支援を受けて、英国からのビルマ
 独立を推進した。しかし日本軍が進駐するや、彼らの振る舞いが旧植民地国家
 である英国よりさらに酷いことがわかると、再び英国軍と手を結び、日本軍を
 退けるのに成功した。英国はこのときに交わされた約束を守り、ビルマの独立
 を許容している。

上記下線部分は、事実を単純化しすぎているのではないかしらん。
もっと言えば、間違い?


ちなみにp34「同族間の戦争--軍事的解決ならず」
 金日成率いる北朝鮮軍はソ連の支援を受けて三八度線を越え、南に侵攻した。
 これが朝鮮戦争の始まりであった。この戦争においてソ連は北朝鮮は単に兵站
 や軍備の面だけでなく、戦略的、戦術的にも支援した。

は「その通り」だろう。



羅鍾一『ある北朝鮮テロリストの生と死』(集英社新書)★×5
原書は2013年刊。
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6/16(水)、雨のアジサイ。アジサイもそろそろ終わりかな~。











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