人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
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原彬久『岸信介証言録』

2020-04-17 05:00:00 | 読書

岸信介について最近の人は知らないかもしれないが、明治29(1896)
年-昭和62(1987)年(90歳)。一高、東大を我妻栄、三輪寿壮と
ともにする。大学に残ることを勧められたが、官吏の道を選ぶ。

商工省から満州国国務院に転じたのは、昭和11(1936)年、40歳の
時だ。
昭和16(1941)年、東条内閣商工大臣(45歳)。戦後は、東京裁判
のA級戦犯被疑者(不起訴、無罪)を経て、昭和31(1956)年石橋
内閣外務大臣、昭和32(1957)年岸内閣を組閣。

岸内閣時、昭和33(1958)年の「話し合い解散」は、左右社会党の
統一と保守合同(日本民主党+自由党)の後の初めての総選挙であ
り、自民党が287議席(得票率57.8%)、社会党が166議席(同32.9
%)、共産党が1議席(同2.6%)という結果だった。

本書は、昭和35(1960)年の日米安保改定を中心としたオーラル・
ヒストリーである。

岸の「証言」に100%納得するかどうか、いいか悪いかは別として、
その頭の回転の早さというか、質問に対する飲み込みの早さという
か、切れの鋭さは驚嘆すべきものがある。

Yes、Noが大変はっきりしており、言えない部分はちょっと言えな
いとはっきり言う(当然ながらすべてを話すわけではない?)

岸の「放言」がまことにおもしろい。--
佐藤三兄弟--市郎(海軍中将)、信介、栄作の中で一番頭がいい
のは市郎、一番悪いのが栄作だが、政治的なセンスからいうと栄作
が一番だ。河野(一郎)は陽性だが、三木は陰性で嫌いだ。
派閥は(ない方がいいけれど)人間の好き嫌い、人間関係から生ま
れる部分がある(--この点は渡辺恒雄と同じ意見?)。


終章となる「第七章 思想、政治、そして政治家」がこれまたおも
しろい。


原彬久『岸信介証言録』(中公文庫)

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4/16(木)


9:54


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