人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

(新刊)栗原俊雄『シベリア抑留--未完の悲劇』(岩波新書)

2009-10-26 05:08:36 | 近現代史
母が保管している、父の遺品である「同期会」名簿を最近になって初めて見た。父
は大学卒業後某石油会社に就職し、すぐ昭和18年秋に千葉県佐倉の東部第64部隊に
入隊した。「同期会」名簿はその時のものである。それによれば、昭和19年には、
草野心平の詩にもでてくる石家荘で幹部候補生の訓練を受けている。その後、「弘
兵団」に所属し、当時いわゆる北支を転戦していたようだ。

(母からの伝聞によれば)終戦間際に北支から満洲(これも当時の言葉である。)
に移動し、そこでソ連の捕虜となり「シベリア送り」となった。シベリアでは強制
労働というのか森林伐採をさせられたようだ。シベリアでは、極寒、飢餓、重労働
により、捕虜となった日本人のうち10人に一人が亡くなった。(まさしく「スター
リンの犯罪」である。)

生前の父は、学生時代に熱中したサッカーについてはよく「解説」してくれたが、
シベリア抑留のことは話さなかった。それほどまでに嫌な思い出だったのだろう。

「不毛地帯」のTVドラマも先週から始まった。あらためて平和の有り難さを痛感
せずにはいられない。

本書の著者は現役の毎日新聞記者。昭和42(1967)年生れだから、今年42歳であ
る。岩波新書の前書『戦艦大和 生還者たちの証言から』も話題となった。

<目次>
第1章 発端
第2章 移送
第3章 三重苦
第4章 民主化運動
第5章 帰国
第6章 闘争
第7章 遺族
第8章 慰霊
第9章 終わらない「シベリア抑留」


ちなみに今年は父の没後30年である。(神道であれば30年祭を行うのだが。)


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