goo blog サービス終了のお知らせ 

人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

諸田玲子『奸婦にあらず』(文春文庫)★★★★★

2010-02-12 05:03:59 | 読書
桜田門外の変で有名な井伊直弼は、舟橋聖一によって『花の生涯』に小説化されて
いる。これはまた、NHKの大河ドラマ第一作としても有名である。

<参考>NHK大河ドラマ『花の生涯』キャスト
井伊直弼:尾上松緑
昌子の方(直弼正室):八千草薫
秋山志津(直弼側室):香川京子
村山たか:淡島千景
長野主馬→長野主膳:佐田啓二  他

これを村山たかを主人公とした小説に仕立てたのが、諸田玲子の大作『奸婦にあ
らず』である。(文春文庫版では600ページを超えている。)

本書は、「前年に発表された、歴史、現代にわたり、ノンフィクション文学、または
自然界を材の取った作品 」に与えられる新田次郎文学賞(第26回。平成19、
2007年)を受賞している。
歴史上実在の人物と事実(史実)の合い間を著書の想像力で膨らませ、見事な小
説ができあがった。

印象としては、「女流」作家らしい、はんなりとした歴史小説で、なまめかしさとミス
テリータッチにあふれている。彦根を中心とした、多賀神社、飯道(はんどう)神社、
天寧寺など歴史遺産が登場する。

本書に登場する関西弁が大変魅力的だ。女性にしか書けない(--といってはお
おげさかもしれないが。)村山たかの心情が表現されている。波乱万丈だったたか
の一生。小説は穏やかに終わっている。

村山たか、長野主繕、井伊直弼をめぐる相関図(家系図)を書きながら読むことを
おすすめする。

それにしても村山たかにせよ、長野主繕にせよ、井伊直弼にしても、歴史の「偶然」
に翻弄された生涯だったといえるだろう。『花の生涯』も読んでみたくなった。



コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 東響 東京オペラシティシリ... | トップ | 後藤田正晴『情と理』(講談... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
花の生涯 (wajimase)
2010-02-12 21:44:40
今日の産経新聞に記事がありました。井伊直弼は政治主導で朝廷を軽視した、一橋派の優秀な官僚を粛清した、結局人材がいなかったと。
桜田門外の変で歴史が変わった、幕府は倒せると思った、それから明治維新まで15年、それと同様で大蔵省が倒れ(財務省と名前は変わったが)、それから15年掛かって自民党幕府が倒れた、そのようなことを渡部昇一さんが「まさしく歴史は繰り返す」で予言してます。12年前の本です。
返信する
幕末史 (katsura1125)
2010-02-13 16:46:54
wajimaseさん、ご無沙汰しています。

あの頃(幕末)は、真の激動期。黒船襲来以来、尊皇攘夷派、開国派の動きがめまぐるしかった時代。複雑でしたね~。

私はまだですが、半藤さんの『幕末史』はお読みになりましたか?はやく文庫化されないかな~と思っています。

それにしても、日本(人)はよくあの危機を乗り切ったモンですね~。(日米関係の現状は大丈夫でしょうか?)
返信する

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事