7/30(月) 前回書いたように、この日は市内観光後のオペラと演奏会鑑賞。
シュティフツケラーのランチからあわただしくホテルへ戻り、ダーク・スーツに着
替え、開演20分前の午後2時40分に会場のフェルゼンライトシューレFelsen-
reitshuleに到着した。
フェルゼンライトシューレの入口(--玄関といえば分かりやすいかしらん。)は
モーツァルト劇場と共通である。内部の構造、フェルゼンライトシューレとモー
ツァルト劇場の配置がどうなっているのか、少し分かりにくいが、ホールの場所
は、要所要所に立っている、赤いネクタイをした、(--なんと呼べばいいのか
しらん)ボーイさんに訊くと親切に教えてくれる。
玄関を入ったばかりのロビー
ウロウロ、まごまごしながら会場へ向かう。
カール・ベーム・ザール ここを通ってフェルゼンライト・シューレへ
2時50分、自分の座席--18列の5に無事着席した。やや下手寄り、いい席で
観やすかった。会場には確認できるだけでもテレビ・カメラが4台入っている。
1台の前では長身、金髪の女性アナウンサーが現場から実況中継している。
フェルゼンライトシューレは、フルトヴェングラーの「ドン・ジョヴァンニ」や「サウン
ド・オブ・ミュージック」に映像として残っているが、大阪フェスティバル・ホールの
ような、想像以上に、大変幅広い会場である。
座席18列5より
明るくライト・アップされているのはテレビ中継のせい?
開演前の会場は、おしゃべりでにぎわい、デジ・カメのフラッシュがたかれていた。
ベルが鳴り、3時3分に暗転すると、subito p か、急に静粛になった。
下手から長身のアーノンクール82歳がゆっくり登場、大きな拍手が起こる。ア
ーノンクール一礼後、拍手が静まるや、すっと「序曲」に入った。変ホ長調の序
奏からAllegroに入ると文字どおり速いテンポ、オーケストラ・ピット(--写真
を撮っておけばよかった。)がよく見えるので、弦が全力で弾いている様がよく
分かる。古楽器らしい、ビブラートのない、サバサバした歯切れのいい演奏が
続いた。
モーツァルト「魔笛」(於フェルゼンライトシューレ)
アーノンクール指揮/コンツェントゥス・ムジクス
ザラストロ;G.ツェッペンフェルト
タミーノ;B.リヒター
夜の女王;M.フレドリッヒ
パミーナ(夜の女王の娘);J.クライター
パパゲーノ;M.ウェルバ
パパゲーナ;E.シュヴァルツ
モノスタトス;R.シャシング 等
合唱;ウィーン国立歌劇場合唱団
演出;ヤンスーダニエル・ヘルツォーク
私は正直いってオペラ・マニアというほどオペラに詳しくはない。この30年ほどに、
生で聴いたオペラは、歌舞伎よりは多いが、数えたら15回ほどだった。自宅にあ
るCD、DVDも両手(10本の指)で数えられる程度である。
現代のオペラは、時代設定の変更と一種の読み替えがなされていることが多い
ようだ。もともとは第二次大戦後のバイロイトあたりから始まったのかしらん。同
じツァーに参加した、ザルツブルク音楽祭5回目という女性によると、ザルツブル
ク音楽祭のオペラも何が飛び出してくるか幕が上がるまでは分からないという。
そういえば、昨年来日のボローニャ歌劇場公演では「カルメン」の舞台が現代の
キューバになっていたようだ。
この問題は、詳しく勉強するとおもしろいテーマになるかもしれない。いや、おそ
らく詳しく勉強しておられる方がおられるのではないかしらん。
歌舞伎の場合は、同じ演目でも役者によって演技の違いを味わうものかもしれ
ないが、近年のオペラは演出家の時代といおうか演出が前へ出る傾向がある
ようだ。現地ガイドさんに聞いた話でも2001年「こうもり」の麻薬によるらんちき
騒ぎの下品さ、2003年「後宮からの誘拐」における全裸登場には大ブーイング
の嵐で大変な騒ぎだったらしい。
今回の「魔笛」の演出家を「予習」していたら、やはりその種の傾向の演出をする
人のようだったので、私は、どうなるのだろうと思いながら、この日を迎えていた。
はたして、時代設定の変更とシチュエーションの読み替えがなされており、場所
は学校なのか病院なのか、ただでさえ物わかりの悪い(笑)私には最後まで何
のことやら理解できなかった。テレビで録画放送があれば、録画して繰り返し聴
いてみたい。(*)
*今回の演出については、樋口裕一さんのブログが参考になるかもしれない。
→こちら。
歌手は、デビュー10年目あたりの上り坂にいる人たちかしらん?、粒ぞろい(以
上)で有名なアリアをはじめ歌もせりふもすばらしく、大満足だった。
とくにマンディー・フレドリッヒの、夜の女王のアリア「復讐の炎は」は、客席もシー
ンとする中、耳をそばだてて聴いていたが、上の F まで(Fなんて!)一音もはず
すことのない、すばらしい演奏だった。カーテンコールでは一番の拍手を受けてい
た。
(注)BassのG.ツェッペンフェルトはティーレマン/ウィーン・フィルベートーヴェ
ン交響曲全集「第九」のソリスト
全体的にいえば、歌手の発声、独語の発音(余談だが今はどの歌劇場にも発音
指導の専門家がいるらしい。もっとも本公演は独系の歌手が多かったようだが。)、
演技、アーノンクールの速めのテンポと古楽アンサンブル、そして合唱、会場の
音響のすばらしさを堪能させてくれた公演だった。
ちなみに、アーノンクールの「魔笛」は、今年のザルツブルク音楽祭において、ネ
トレプコの「ラ・ボエーム」、コジェナーの「カルメン」とともに大人気で、即日完売
だったようだ。
「魔笛」休憩中 2階より
プログラム表紙 本文は独語と英語
ステージ写真が掲載されている。一か月以上前には撮影しているハズだが。
ザルツブルク音楽祭HP「魔笛」もご参照→こちら
<以下 ザルツブルク音楽祭HP「魔笛」より>
幅広いステージ 下手に小さなタミーノ(ベルナルト・リヒター)
後ろのセットは左右に開いたり閉じたりする。
夜の女王のマンディー・フレドリッヒ(コロラトゥーラ)
ちょっと変わったラスト・シーン
合唱団の前で、はいつくばるザラストロと夜の女王お互いがタミーノの持つメダル
(?)をぜひ私にと奪い合っている(??)。
午後6:45オペラ「魔笛」終演後、徒歩でいったんホテルへ戻る。(会場からホテ
ルまでは歩いても20分ほどだった。)
7:45ホテルより大型ハイヤー2台分乗(4人×2台)で出発。
8時過ぎに会場前に着くと、黒塗りの車が続々と到着しているところだった。
ゲルギエフ/ウィーン・フィル演奏会(於祝祭大劇場 午後8時30分開演)
<プログラム>
1.ストラヴィンスキー 詩篇交響曲(合唱;ウィーン国立歌劇場合唱団)
2.ムソルグスキー 歌曲集「死の歌と踊り」(テノール;セミシクル)
3.プロコフィエフ 交響曲第5番
最初にウィーン・フィルが入場、大拍手で迎えられた。次に合唱団が入場。最後
に長身(--190cmはあるだろうか。)ゲルギエフが、拍手の中、ゆっくり登場し
た。こちらも幅広い会場である。
1.ストラヴィンスキー 詩篇交響曲(合唱;ウィーン国立歌劇場合唱団)
渡航前にS.ラトル/ベルリン・フィルのCDで少しく「予習」していった曲である。
「詩篇交響曲」というタイトルだが、どちらかというとオーケストラ伴奏の合唱曲と
考えた方が分かりやすいかもしれない。歌詩はラテン語である。
音楽は、まさしく20世紀のオーケストレーション、和音進行といえるだろうか。
本番、チェロとコントラバスによる出だしの和音の柔らかく美しかったこと。ウィ
ーン国立歌劇場の混声合唱は、譜面持ちだったが、大きな会場の遠くまで届く
強い声で、とくにテノール・パートはところによって、見事な声で前へ出る演奏
ぶりで、私としては大満足!だった。(趣味の問題だが、混声に埋もれるテノー
ルの歌い方はあまり好きでない。)
2.ムソルグスキー 歌曲集「死の歌と踊り」(テノール;セミシクル)
(1)子守歌
(2)セレナーデ
(3)トレパック
(4)司令官
ステージのフォーメーションを変更するのに時間がかかる。弦楽5部は小編成--
確認したら、1st4、2nd4、チェロ3、ヴィオラ3、コントラバス2だった。下手にピア
ノ、チェンバロ、オルガンが入った。テノール用の譜面立ても置かれている。
これは予習が間に合わなかった(笑)が、4曲いずれも死神が出てくる、暗い曲
(むろんすべて短調)である。原曲はピアノ伴奏だが、ショスターコーヴィチによる
オーケストラ伴奏版も多いようだ。セミシクルはロシア人のテノールだが、ソプラ
ノやバスも歌うことがある。
セミシクルは、はじめ大人しく語るように歌っていたが、途中から両手、両足を広
げ、前へ出る感じで劇的に歌い上げた。ロシア語の母音はイタリア語に似ている
といっていたのは岸本力さんだったかしらん。暗い歌だが、意外と明るい母音で
ある。
ロシア語歌唱であったが、字幕はいっさいなかった。ザルツブルクに来るお客さ
んはレベルが高いのカナ?ここぞという高音がすばらしかったセミシクルに、私
も精一杯の拍手を送った。
3.プロコフィエフ 交響曲第5番
休憩後でリラックスした会場。ウィーン・フィルが立って迎えるゲルギエフの登場
に、儀礼的でない大きな拍手が起こった。
ゲルギエフの客席一礼後、オケが座るやすぐ第1楽章Andanteに入った。
ゲルギエフは、この日初めて、鉛筆ほどのきわめて短い指揮棒を持った。1944
年、20世紀半ばの作品とはいえ、意外とメロディック。16型の弦が力強く、かつ
柔らかさがあって美しい。第1楽章からシンバル、タンバリン、ドラが出てくる。第
2ヴァイオリンが力いっぱい弾いている。楽章最後の全強奏は真にヤル気を感
じさせた。(ウィーン・フィルのチェロも顔を見合わせ苦笑い。--「みんな力が
入っているな」とでもいいたげに。)
第2楽章Allegro--ゲルギエフは「ここっ」というようにパートパートに指示を出
す。第2楽章も強奏でフィニッシュ。
第3楽章はAdagio美しいメロディーが出てくる。もっと演奏されてもいいかもしれ
ない。ウィーン・フィルはここでも大変鳴っていた。(--こう思うと去年の日本公
演は大人しかったカナ?(笑)。「巡航速度」による演奏?)
再びAllegroの第4楽章は文字どおりの凄演といっていいのではないだろうか。
ガーッと盛り上がって、一斉に終わった。(PM10:40)
ゲルギエフとウィーン・フィルの組み合わせ、相性は大変いいようだ(*)。ゲル
ギエフはほとんど拍を振らない部分もあった。
*ウィーン・フィルは、きっとゲルギエフの「才能」を評価しているのだろう。指揮
者がオケを評価する一方、オケも指揮者を評価するものである。--合唱の
世界でも同様である。
あくまで私の印象論になるが、ウィーン・フィルは、ゲルギエフのせいかザルツ
ブルクのせいか、アドレナリンの出た、「本気の演奏」をしてくれた。一人ひとり
が「全力投球」した演奏であることが感じられる。(聴く方にもアドレナリンが出
ているが・・・・・・。)
ゲルギエフ/ウィーン・フィルの組み合わせのCDを見かけたことがあったはず
と、ネット検索したら次の記事があった。私の、今回の印象に近いものがあるの
で、リンクを張らせていただこう。→こちら。(これもザルツブルク・ライヴだった。)
ここでもJTBさん手配の席はいい席だった。感謝!である。(2F-2-15)
19:55会場前(開演前)
同じ位置から後ろを振り向いたところ
開演前 2階より 20:03
女性がプログラムを売っている
第1ステージのステージ・フォーメーション (座席2F-2-15より)
ステージ前方は、下手側よりピアノ2台、ハープ、チェロ、コントラ・バス
(ヴァイオリン、ヴィオラはない。) 20:15
休憩中 会場の外 ワインを飲む人々 21:46
終演後の拍手に応えるウィーン・フィル 22:42
ウィーン・フィル演奏会のプログラム 5ユーロ(500円)もしない。
(9/3へ続く)
* * * *
ウィーン・フィルの、弦の柔らかさの秘密--久しぶりに中野雄『ウィーン・フィル
音と響きの秘密』を読んだ。
まことアンサンブルは難しい。合い過ぎても魅力がなくなる場合がある。拍を振
り過ぎると、歌わなくなる(カンタービレがなくなる)こともあるのは、オケも合唱も
同じだろう。
中野雄『ウィーン・フィル 音と響きの秘密』(文春文庫)
第26回あざみ野祭り
8/25(土) わが町内26回目のあざみ野祭り(午後2時~)。この町に引っ越し
て20年になるが、このお祭りに行くのはほとんど初めてである。この日は晴天
に恵まれた。(34℃)
この町には、6、7つの自治会がある。私が住んでいる自治会は、今年は焼き鳥
の担当。裏方を4時間ばかりお手伝いさせてもらった。
16:45 イベントの一つ、親父バンドに合わせて踊る小学生(あざみ野第一小)
18:00 焼き鳥の裏方さん
解凍作業4500本も終盤。
18:05 夕方から焼き鳥に行列も
おいしい焼き鳥でした。人気で完売とのこと。
自治会役員、お手伝いの方々 お疲れ様でした。
(しかもこんな昔の記事に)
実は、僕もこの日ザルツブルク音楽祭のウィーンフィルを聴いていました。それに関するブログを探していたところ、この記事を見つけ、嬉しくなってコメントしました。
新婚旅行でウィーンに来ており、この日が最終日。
一日中自由行動だったので、個人的にチケットを取って、往復6時間かけて特急でザルツブルクに行きました。
ところが、終電の時間に間に合うためには、最後まで演奏を聴くことが出来ず、楽しみにしていたプロコフィエフどころか、死の歌と踊りすらも聴けず、結局詩篇交響曲だけ聴いてウィーンにとんぼ帰りする、もったいない一日でした。
しかし、初めての海外旅行で初めて聴いたウィーンフィルは、1曲だけでも十分に堪能でき、また次の訪問の楽しみにもなっています。
katsura1125さんと祝祭大劇場で同じ空間を共有していたと考えると、不思議な気持ちです。
ブログ、これから拝見させていただく予定です。
宜しくお願い致しますm(_ _)m
遅まきながら(?)ご結婚おめでとうございます。息子と同じ名前かな~?
新婚旅行--円高でいい時に行かれましたね~(笑)。対ユーロでは2割以上の違い!
ウィーン・フィルと祝祭大劇場の音!すばらしかったですね~。
当方は原則、毎週月曜の更新です。(明日は臨時増刊をアップ。)また気軽にお立ち寄りください。
円高には助けられましたよ(笑)。
お小遣いの用意も楽チンでしたから!
また顔出しますので、そのときは宜しくお願いします。