人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

吉村昭『高熱隧道』(こうねつずいどう)(新潮文庫)★★★★★

2010-01-07 05:11:50 | 読書
これはおもしろい!「こうねつずいどう」と読む。「ずいどう」とはトンネルのことで
ある。昭和11年8月に着工し、15年11月に完工した黒部川第三発電所工事の記録
文学である。ちなみに第四発電所がクロヨンである。

吉村昭といえば『戦艦武蔵』(S41)であるが、本書はその翌42年に発表されてい
る。一行たりともおろそかにしない、簡潔にして無駄のない文章がいい。このよう
な文章は簡単に書けそうだが、なかなか書けない。


<出だし>は・・・・・・

  引き上げられた遺体は、陸軍少尉の肩章をつけている若い男だった。軍服から
 露出した顔や手の先には青い斑点がみられ、歯列はかたく閉じられていた。
  発見されたのはダムの取水口に近い水面で、事故のおこった箇所からはかなり
 はなれた所であった。おそらく沈んだ遺体は、、湖に流れこむ黒部川のはげしい
 水の流れにおされて、堰堤の附近まで押し流されてきたものにちがいなかった。

(さてどうなりますか。)


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