以前に書いたが、小田原は昭和8(1933)年ごろ母が2年ほど小学校に通った地であ
る。母は小学校6年で東京の笄(こうがい)小学校に転校し、府立第六高女(現都
立三田高校)に進学した。
師走の12日(日)、母ゆかりの地小田原で小田原少年少女合唱隊のクリスマスチャ
リティーコンサートを聴いた(小田原市民会館、14時開演)。
小田原少年少女合唱隊と私については→こちら。
小田原駅からお堀端通りを歩き、小田原市民会館へ。小田原は私の住む横浜より
2℃ほど暖かかった。13時20分に会場に着いた時には既に数十人の行列ができて
いた。
今年は、小田原少年少女合唱隊、そのOB、OGであるマルベリー・クワイア、マ
ルベリー・チェンバークワイアの3団体が全日本合唱コンクール(全国大会、西宮)
で金賞と銀賞に入賞する年となった。
プログラムに書かれた桑原妙子先生の「ごあいさつ」には、
「先月、兵庫県で開催された全日本合唱コンクール全国大会には一般A部門にマル
ベリー・クワイアとマルベリー・チェンバークワイア、一般B部門に小田原少年少
女合唱隊が参加しました。一人の欠席もなく兵庫県立芸術文化センターKOBEL
CO大ホールの素晴らしい響きを体感し、心が羽ばたくような幸せな思いを共有で
きたことは大きな喜びとなりました」
とあった。
結果として金賞、銀賞を受賞したことに一言も触れていない上記の文章を読むうち、
私の目には涙がにじんできた。--コンクールよりも何よりも、原点である、子ども
たちの《歌いたい気持ち》を大切にされている桑原先生らしい文章だった。
1.「ミサ・ブレヴィス」(ベンジャミン・ブリテン)・・・・・・クラスⅡ(36人)
指揮;桑原妙子 ピアノ;桑原春子
(1)キリエ
(2)グローリア
(3)サンクトゥス
(4)ベネディクトゥス
(5)アニュス・デイ
14時過ぎ、2ベルに続き、中央にピアノが置かれたステージに、なんといえばいいの
かしらん、修道服のような服装の中高生が下手から拍手に迎えられて入ってきた。
中高生の入場とともに途中で桑原春子先生、最後の方で桑原妙子先生が中央へ進ん
だ。大きな拍手となる。
「ミサ・ブレヴィス」とは小さなミサ曲という意味だそうだ。(ミサ曲を私は歌っ
たことがない。昔、ミサ曲ってどうしてどれも歌詩が同じなんだろうと思っていた
(笑)。)
中高生が、姿勢正しく、ビブラートの少ない声で、自信を持った暗譜で歌った。
(--自信のない暗譜は聴いていてわかるものである。)一人ひとりが歌えるまで
どうやって練習するのだろうか?「パート練習」を徹底しているのかしらん。そん
なことを聴きながら考えた。
クラスⅡの人たちが上手に下がると、クラスⅠの小さな子が下手から入ってきた。
桑原先生がマイクを持つ。「本日はお忙しい中お出でいただきありがとうございま
した。・・・・・・今度は小1から小6まで20人のクラスです。日本人になって間もない人
たちですので、何語でもすぐ覚えてしまいます」
2.クリスマスのうた①・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・クラスⅠ(20人)
(1)神の御子は
(2)赤鼻のトナカイ
(3)ジングル、ジングル、そりの鈴
(4)サンタ・ルチア
「神の御子は」を日本語(一番)とラテン語(二番)、透明な声で歌う子どもたち
の姿を見ているとなぜかしらん涙が出てきた。日本語のほかラテン語、英語、エス
トニア語、イタリア語と5ヶ国語!春子先生のピアノはきっちり、しっかりした伴奏。
3.「サウンド・オブ・ミュージック」より(英語)・・・・・・・・・クラスⅠ・Ⅱ(56人)
(1)サウンド・オブ・ミュージック
(2)ひとりぼっちの山羊飼い
(3)ドレミの歌
ジュリー・アンドリュース主演の映画「サウンド・オブ・ミュージック」の封切り
を観たのは中学生の時だった。何年かして家にステレオが来た時には、そのLPを
繰り返し聴いたので懐かしい。
お見せできないのが残念だが、民族衣装風のステージ衣装は春子先生の手作りだそ
うだ。3曲は、ソロあり、テンポの違いあり、音色もそろって歯切れよく、それぞ
れに変化のある演奏だった。
4.コンクールのプログラムより①・・・・・・・・・・・・・・・クラスⅡ(36人)
(1)夕べの歌(コダーイ作曲)
(2)アテ・ネツィック(間宮芳生)
関東合唱コンクールに続き聴くこと2回目となると印象深い。2曲目は何気なく歌っ
ているが、難しい曲である。桑原先生の指揮はどんなに f になっても、背中の線と
いうか中心線がまったく動かないし、前のめりにもならない。
5.コンクールのプログラムより②・・・・・・・・・マルベリー・クワイア(14人)
(1)高い山で(シャビエル・サラソラ作曲)
(2)冬(ロイゼ・レビチ作曲)
「マルベリーってなに?ときかれますが、桑の実という意味です」(桑原先生)。
皆さん、黒のワンピース(といえばいいのかしらん。)姿。女声合唱というと、
透明感があって、きれいにハモるイメージだが、強い声で、本格的なベルカント
を聴かせてくれた。(1)はあらためて聴くと味わいのある曲。(2)は無声音など「七
色の声」を駆使し、表現力豊かに歌い上げた。
6.コンクールのプログラムより③・・・・・・マルベリー・チェンバークワイア(26人)
(1)「合唱のためのコンチェルト」から第4楽章(アルフレート・シュニトケ作曲)
(2)たった一つ(ニロ・アルカラ作曲)
(聞き間違えでなければ)最年長は6期生。30年以上歌っている人もいるという。
小田原少年少女合唱隊が発足して48年。長年、同じ発声、語法、歌唱法で育った
人々による合唱だけに文字どおり息が合っている。
(1)は「私が希望をもって、神の御名のうちに始めた仕事を完了せよ。私の歌が、心
と体の傷を癒すことが出来るように。そして、神よ、しもべから賞賛を受けたまえ。
アーメン」(ロシア語)という歌--一種の「魂の音楽」である。プログラムを読
んで、そういう歌だったのかと思いながら聴いた。最大26部に分かれる曲。R.シュ
トラウスの『変容』を思い出した。大人の声、大人の歌ですばらしかった!CDを
注文しよう!
--休憩--
休憩中に合唱コンクールの賞状を見ていると、50代と20代の母娘の会話が耳に入っ
た。--(娘)「すごいね~」、(母)「日々の努力よ~」。
7.音楽劇「眠れる森の美女」・・・・・・・・・・・・クラスⅡ
始まる前に桑原先生によってIFCM「世界合唱の日(12月第2日曜日)」声明文
が読み上げられた。
緞帳(どんちょう)が上がるとステージはおとぎ話の世界。春子先生手作りの、本
当にカラフルな衣装にひきつけられる。20分を超える音楽劇。最後は魔女があやま
りハッピー・エンド。
8.クリスマスのうた②・・・・・・・・・・・・Chor Blacks・OB・全員
(1)もろびとこぞりて(ロウェル・メイソン作曲といわれている)
(2)ソリすべり(ルロイ・アンダーソン作曲)
(3)天には栄え(メンデルスゾーン作曲)
(4)おお聖夜(アダン作曲)
文字どおり出演者そろっての全員合唱。シンバルあり、鈴(うまかった!)あり、
媚(こび)のない、素朴な、しかし心からの合唱が聴けた。とくにフランス語の
女声合唱から始まり最後は全員合唱で終わる、アダンの「O Holy Night」は何回
聴いてもひきつけられる。今回も全員合唱となるところでステージがにじんだ。
「今日の(チャリティーの)寄付金は100,217円でした。これからもみんな仲良く
歌っていきたいと思います」(「魔女」役)
「演奏会を聴きに来られるとこんな難しい曲は歌えないと言われる方、お子さんが
おられますが、『歌いたい』という気持ちがあればどなたでもやっていけます。ぜ
ひ参加なさってくださいネ」(桑原先生)
特別な入団テストはやっていないとのこと--歌うのが好きなお子さんにはおすす
め!です。
最後は、「ジングル ベル」、「きよしこのよる」を会場全員で合唱して終わった。
いつものことながらプログラムの曲目解説が詳しく、勉強になった。知らないこと
って多いですね~。
なお、昨年の「クリコン」の様子は→こちら
小田原市民会館 大ホールは昭和37年建設 1,098席
小田原市民会館前の案内図
開演を待つ会場(演奏中の撮影・録音は禁止です。)
ロビーの賞状
小田急小田原駅
駅前で見つけた「小田原高等学校発祥之地」
お堀端通りの万葉の湯(栄町1丁目)
昔は志澤百貨店(→志澤西武。平成9(1997)年閉店)があった
小田原城のお堀
神奈川県立小田原城内高等学校 建学100年記念碑
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コンサートの解説が詳しく書いてあったので、とても驚きました!!
いつもご丁寧にありがとうございます。
私は今回お手伝いをさせて頂いたのですが、
来年は私も一緒に歌わせていただく予定です。
来年もぜひコンサートに来てください
コンサートの解説が詳しく、といっても、こっそりビデオを撮っているわけではありません(笑)。
来年はどんな曲をお歌いになるのでしょう?今から楽しみです。
これからもお気軽にお立ち寄りください。
毎回合唱隊のコンサートを取り上げて頂いてありがとうございます。
私はお手伝いで毎回ロビーで仕事をしながら聞いていますので、中での演奏が手に取る様で、
いつも楽しく拝見させて頂いています。
来年も合唱隊のコンサートの模様を楽しみにしています。
応援してくださる方々に恵まれていることには、言葉にならないくらい感謝しております。
なかなか満足の行く演奏には辿り着けませんが、これからも皆で仲良く歌っていきたいと思っております。
来年も、どうぞよろしくお願い致します!
小田原少年少女合唱隊のコンサートは、「桑原ファミリー」総出でいつもおそろいの黄色いシャツを着てお手伝いされていますね~。
本当におつかれさまでした。また伺います。
今年も無事多くのスケジュールを終えられたとのことおつかれさまでございました。
来年はどんな曲、企画にチャレンジされるのでしょう?今から楽しみにしております。
最初にブログを拝見した時に、あまりに詳細にコンサートの模様を載せて頂いておりましたので驚き感激し、今ではスタッフ一同、ブログを拝見させて頂くのを楽しみにしております。
本当に暖かい解説も、嬉しく思っております。
来年も隊員達は元気に楽しく歌うことでしょう。
来年も宜しくお願い申し上げます。
小田原少年少女合唱隊の専属レポーターというわけでもありませんが、横浜から日帰りできる範囲なかぎり聴きに伺いたいと思っております。
来年もよろしくお願いします。
去年は"シンデレラ"の名前でしたが、
今年は"オーロラ"でコメントさせて頂きます(笑)
いつもいつも詳しくて温かいblogで、
とってもうれしく楽しく読ませていただいてます。
ブンダバーを読んでいると、
どんなに前のことでも思い出されてすごいですね☆
これからも楽しみにしています!
来年また成長した演奏ができるように
楽しくがんばりますのでよろしくお願いします
本当にカラフルな衣装でステキでした。
みなさん、指揮をほとんど見ていないようでよくそろうなと思いながら観ていました。
CDが発売されるのが楽しみです。
来年も一生懸命拍手を送ります!頑張ってください。