人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
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小林秀雄『モオツァルト・無常という事』(新潮文庫)★★★★

2010-03-19 05:11:11 | 読書
小林秀雄は評論家というより批評家という言葉がふさわしい。明治35(1902)年に
生まれ、昭和58(1983)年に80歳で亡くなった。

今はどうなのだろうか、私たちが大学受験の頃は小林秀雄が国語の入試問題にし
ばしば取り上げられた。さらさらと読むわけにはいかなかった記憶がある。

あらためて読み直してみて、小林秀雄の魅力は誤解を恐れずズバッと「言い切る」
ところにあるのではないかと思うようになった。

本書にも掲載されているが「偶像崇拝」という一文の出だしで、高野山の秘画「赤
不動」を見る機会があったという話が出てくる。
「この夏、高野山に行き、その機を得た。見てがっかりした。つまらぬ絵である」
と言い切るところがある。私もこれほどに言い切りたいがなかなか難しい。むろん、
話はこれだけで終わらず、それを説明する文章が続くのである。


かなり最近知ったことだが、小林は終戦後「頭のいい人はたんと反省するがいい。
僕は馬鹿だから反省しない」と言い切ったそうだ。戦後は時流に乗るといおうか、
日和見に走る人が多かったことへの「反発」であったろう。終戦時は43歳だった。


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