いま、歴史(学)は細分化されている。専門化といってもいいのか
もしれない。
それはそれでオモシロイのだが、一方では「歴史の流れ」が分から
なくなるキライがある。
新書で『日本の歴史』といえば、井上清(1913-2001)の岩波新書
版が思いつく(これは本ブログでも取り上げた(→こちら)。
ここであらためて紹介するJ.ホール(1916-1997)『日本の歴史』は、
エール大学教授(当時)が書いたものだ。
40数年ぶりに読み返したが、まことに的を得た概論でおもしろい。細
部を踏まえつつも、鳥瞰的な書きぶりだ。
満州事変の頃の記述も次のとおり
満州攻撃をはじめ、それによって日本の国家的苦境に軍事的に対処するやり方
を台頭させた事情を理解するには、日本が直面していた「大陸問題」という背景
の中で考えなければならない。なぜなら、それは一握りの狂信者の仕業ではなか
ったからである。1930年代までに、かなり多くの日本人が、中国における日本の
「特殊権益」を擁護し、特に戦略的理由や経済的理由から、満州の支配権を確保
する必要があると、確信するに至った。
と、一方的にならず、バランスの取れたもので、「なるほどそんな
ところだろう」というものだ。
歴史を学ぶということは「そういう時代だった」ということを学ぶ
こと?
J.ホール『日本の歴史』(講談社現代新書)★×4.5。
現在は絶版のようだが、amazonで1円+送料で入手できる。
アメリカ人の学者が著したものとしては下記もおもしろい。
ちなみに、E.O.ライシャワーは、J.ホールのハーバード大学院時代の
先生だ。
E.O.ライシャワー『日本近代の新しい見方』(講談社現代新書)
本書に収められたライシャワーと中山伊知郎や林健太郎との対談
も興味深い。
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