人生ブンダバー

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J.ホール『日本の歴史』(講談社現代新書)とE.O.ライシャワー

2020-02-03 05:00:00 | 近現代史

いま、歴史(学)は細分化されている。専門化といってもいいのか
もしれない。


それはそれでオモシロイのだが、一方では「歴史の流れ」が分から
なくなるキライがある。


新書で『日本の歴史』といえば、井上清(1913-2001)の岩波新書
版が思いつく(これは本ブログでも取り上げた(→こちら)。



ここであらためて紹介するJ.ホール(1916-1997)『日本の歴史』は、
エール大学教授(当時)が書いたものだ。
40数年ぶりに読み返したが、まことに的を得た概論でおもしろい。細
部を踏まえつつも、鳥瞰的な書きぶりだ。



満州事変の頃の記述も次のとおり
 満州攻撃をはじめ、それによって日本の国家的苦境に軍事的に対処するやり方
 を台頭させた事情を理解するには、日本が直面していた「大陸問題」という背景
 の中で考えなければならない。なぜなら、それは一握りの狂信者の仕業ではなか
 ったからである。1930年代までに、かなり多くの日本人が、中国における日本の
 「特殊権益」を擁護し、特に戦略的理由や経済的理由から、満州の支配権を確保
 する必要があると、確信するに至った。

と、一方的にならず、バランスの取れたもので、「なるほどそんな
ところだろう」というものだ。

歴史を学ぶということは「そういう時代だった」ということを学ぶ
こと?



J.ホール『日本の歴史』(講談社現代新書)★×4.5。
現在は絶版のようだが、amazonで1円+送料で入手できる。



アメリカ人の学者が著したものとしては下記もおもしろい。
ちなみに、E.O.ライシャワーは、J.ホールのハーバード大学院時代の
先生だ。



E.O.ライシャワー『日本近代の新しい見方』(講談社現代新書)
本書に収められたライシャワーと中山伊知郎や林健太郎との対談
も興味深い。


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